「認定こども園宍粟わかば」では、引渡しの前に音環境の検査【残響時間測定】をおこないました。
下の写真は玄関ホールでもありますが、室名としては「遊びホール」。子どもたちの遊び場です。
今回の設計では、子どもたちにとっても保育士さんにとっても、騒音としての音を出来るだけ緩和することが目標でした。同時に温かく優しい木の空間に合う吸音材を選び、組み合わせることも課題でした。
そこで、今回がんばったのが、大工さん手づくりの「ブック式吸音仕上げ」です。色味がまちまち、でっぱりも幅もまちまちな杉の木っ端を本棚のように見せて壁に張ったものです。
音環境は残響時間測定をおこない評価していきます。残響時間とはあらかじめ設定した音域と音量を発生させ、その空間で60デシベルまで落ちる時間を測定します。この測定で、空間の音響性能が解ります。上の写真は測定器ですね。
残響時間は長いほど、その空間は反響しやすい環境であり、発生音が響きやすいことが解ります。環境しやすいと発生音が大きく聞こえ、騒音として感じてしまうのです。
これらが発生機器一式です。これらの測定では、空間の吸音性能もわかります。
これらの機材を移動させながら、主要な空間を測定していきました。
その中で、思いのほか良い数値(速報値)がでたのが、この「遊びホール」でした。検査員の方からは、「壁の凹凸も吸音にはとても効果があるので、この『ブック式吸音仕上げ』が、効果があったとも言えます。」との嬉しいお言葉をいただきました!
また、ピットの絨毯、そして今回、吸音材で多用した、天井に貼ったパーフェクトバリア―ボード(エンデバーハウス)の効果が最も効果があったものと思います。
これも吸音にとって効果があったピットの床の赤いじゅうたん。この赤色が床のクリ板にしっくりあって大満足です。
そのピットの廻りのクリのナグリ仕上げ(橘商店)も凹凸があるので吸音性能があるのかな? 実は、このナグリ仕上げは、住宅の玄関の床仕上げではMsの定番。子どもも大人も足の裏の感触が良くて大好評なのです。なので、吸音より足の裏の快感の効果を期待しているものです。
(みさわふみこ)