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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2025.07.19

丸福町家・住まいと暮らし

エムズ日記をお読みの皆さん、こんにちは。猛暑かと思えば雨が降る天候が続きますが、如何お過ごしですか。今回は、香川県の丸亀で一人暮らしと仕事を始めた、非常勤スタッフの鈴木が担当いたします。

私は、祖母から受け継いだ古民家の改修を思い立ち、1年7か月かけてエムズで自分の家の改修設計と現場監理をさせていただき、今年2月末に改修工事を完成することができました。

(改修の経緯はこちらの作品事例のページをご覧ください。ページの一番下の「Report」より、改修前の詳細調査から工事完成後の様子まで、シリーズでお読みいただけます)

今回のエムズ日記は、新しい住まいでの暮らしについて、住まい手の立場でお話したいと思います。

今、私は、大阪の自宅と、丸亀の丸福町家での2拠点生活を目指して暮らしを築いています。丸亀の祖母の家は、幼い頃遊びに行った程度で、近隣の方々とも面識はなく、丸亀で暮らすのは初めての経験です。

暮らしを始めるにあたって決めたのは、丸福町家は仕事をする場所にしますので、仕事以外の物は、出来るだけ増やさないこととしました。生活に不可欠な冷蔵庫、洗濯機は購入しましたが、食器類は全て祖母が残してくれたものをそのまま使うことにしました。

食事は、無理のない範囲で、自分で作るようにしています。キッチンは使ってみないと使いやすいキッチンの設計はできない、と文子さんから教わったからです。また食材の旬の時期や値段も知っておきたいからです。キッチンは使い易く、手入れもし易く、とても気に入っています。

衛生面では、シャワーユニットはとても使い勝手が良く、気に入っています。脱衣室との境は全面ガラスのため、閉塞感がありません。ユニット自体も体を洗うには適度な広さです。座面の高い椅子を置くことで、体を安定させて洗うことができるようになりました。シャワーを使った後は、タオルでガラス面の水滴を拭き取ることにしていますが、それだけで水滴痕も無く、きれいになります。

洗面台の天板は杉材のJパネルにしました。杉は水を吸い易く、濡れたままにしておくと、カビが生えてきたなくなるので、使用後はすぐに設置している手拭いでふき取るようにしています。

押入の布団を載せる中段には、すのこを敷いて布団の湿気を放散できるようにしました。

エムズからいただく仕事は、1階のワークデスクで行っています。3方向が囲われているため、仕事に集中できます。仕事をしながら、2階の洗濯機が回る音を聴いていると、生活をしているなぁ、と感じます。

さて、この建物は1階を事務所として使うようにと、設計しましたので、道路に面する東面は、解放的で大きな窓を設け、玄関引戸にも大きなガラスが入っています。前面道路は結構人や車の往来があり、道路から家の中がよく見えて、当初少し戸惑いがありました。食事は1階の大テーブルでしていますので、食事の時は、窓のブラインドを閉めたりしていました。しかし徐々に考えが変わってきて、今は仕事をしている間は食事休憩の時も、ブラインドは上げて外から見えるようにしています。

特に夜間は室内に照明をつけると外から中がよく見えますが、あまり気にならなくなりました。これは、事務所で仕事をしている時は、居住いや服装を正して外から見られても恥ずかしくないようにしよう、と考えるようになったからです。そして外部の人が入り易い建物にしたいと思うからです。中が見えた方が安心して入って来られるのではないでしょうか。

設計段階で直感的にインターフォンは付けません、と返答したのも、防衛的なものは付けたくないと思ったからだと思います。まだ道路を歩く人が訪ねてくることはありませんが、そのうちにこの建物はどのような建物ですか?と、玄関引戸の握り棒を掴んで入って来られる来客があればいいな、と思います。

祖母が暮らしていた時、よく友人が「フデさん。おるんな?」と引戸を開けて訪ねて来られたように。

最後まで、お読みいただきありがとうございました。

鈴木康之