Loading...
わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2022.11.18

宍粟の山へ見学に行ってきました。

Ms日記をご覧のみなさま、こんにちは。今週のMs日記は小西が担当いたします。11月も半ばを過ぎ、事務所周辺の木々もすっかりと色づき、散歩がより一層楽しくなる季節がやってきました。

メタセコイアの並木道

これは、事務所からほど近いメタセコイアの並木道です。色鮮やかな葉を見るとなんだか元気が湧いてきます。木々が色づくとともに、気温も低くなってきたので事務所では待ちに待った薪ストーブの火入れを行いました。

薪ストーブの火入れ

今季初めての火入れは、静岡県からインターンに来てくれている竹中君(写真右)がしてくれました。左隣で見守っているのは、薪ストーブのベテランの中尾さんです。薪をくべるところから、火の入れ方、火を大きくする方法までしっかりと丁寧に教えていました。その甲斐あって、朝から少しひんやりと寒かった事務所内もあっという間に暖かくなりました。

さて、それではそろそろタイトル通り、宍粟の山の見学について書こうと思います。先週、来年着工予定の物件の構造材に使用する山を見学してきました。山の麓に着くと、もうすぐ「山のタクシー」が来ますからお待ちくださいと、案内してくださる方から一言。そして、少し説明を聞きながら待つこと数分。

「山のタクシー」

写真に見える青い乗り物が山の上から下りてきました。なんとこの後ろの台に乗ると見学する場所まで運んでくれるとのことです。まさに「山のタクシー」ですが、正式名称は「フォワーダ」と言うそうです。フォワーダの車体幅と同じくらいしかない道を時には後ろ向きに登ることもあり、そこそこの高さと振動もあるので最初は少しドキドキしましたが、慣れると楽しかったです。楽しくなってきた頃、ちょうど見学するところに着きました。

山田林業の山田さん

写真は山の持ち主である山田林業さんの山田さん(写真右奥)が、この山について説明してくださっているところです。今回案内してくださった山は、二次間伐、三次間伐の時期を迎えた山です。植林をしてから、10年目、40年目の年に間伐をします。その後の間伐のことを収入間伐と言い、その1回目を二次間伐、2回目を三次間伐と言うそうです。三次間伐は、植林をしてからおよそ80年目に行いますので、写真の山は、植林をしてからおよそ80年の時を経た山ということになります。

間伐前の山の様子

そして、こちらは、間伐前の写真です。下の間伐後の写真と是非、比較して見てみてください。

間伐後の山の様子

こちらが間伐後の写真です。上の写真とはっきりと違いがあることをお分かりいただけるかと思います。まずは、やはり木の密集度でしょうか。間伐後の山の木々は、一本一本がゆったりと立っていてのびのびと育っているように感じます。そして、もう一つ大きな違いは林床までの光の届き具合です。この林床までの光の届き具合というのはとても大事です。写真の山は、間伐して間がないので下草が生えていませんが、光が届くと下草が元気に育ちます。そうすると土中で栄養がたくさん作られるようになり、根から栄養を吸い上げる木は元気に育つことができます。ただ、林床まで光が届かないと、土中の栄養が少なくなり、根をぐんぐんと張れなくなった木は弱ってしまいます。そして木の根っこが強く支えている山の斜面も弱くなり、水害につながってしまうことがあります。ですので、間伐は山や木が元気でいるためにとても大事なことです。

立木を切っているところ

間伐前と間伐後の山の違いを見学した後、実際に立木を切るところを見せていただきました。ほんの数分の出来事でしたが、とても強く印象に残っています。静寂な山の中に、木が折れていく音だけが響き渡り、木が生きてきた年月の長さと、それを切って使わせていただくことの重みを感じました。

切株は、水分をたくさん含んでいて色もきれいでついさっきまで立っていたことを感じさせられました。木を使う仕事に携わっていく上で、この日に得たこの感覚は絶対に忘れてはいけないと思いました。

立木を切ってすぐ切株

この日は、午前中に山田林業さんの山を見学し、午後はしそうの森の木さんの加工場を見学させていただきました。とても盛りだくさんの一日で、山のこと、木のことのみならず大変多くのことを学びました。しそうの森の木さんで学んだことは、次回担当の際にMs日記にてお伝えしたいと思います。

 

(小西くるみ)