Ms日記をご覧の皆さま、こんにちは。2023年はじめてのMs日記は上野が担当いたします。
1月13日、岐阜県美濃市にある「森林文化アカデミー(以下、アカデミー)」を訪ねる機会があり、皆さまにご紹介させて頂きます。
さて、突然ですが、皆さまは「森林」と聞いて何を思い浮かべますか?
紅葉の美しい木々、林業や木材、里山の暮らしや食べ物、キャンプなどのアクティビティ等・・・沢山のイメージが思い浮かぶのではないでしょうか。
アカデミーは、「森林」を舞台に多様な専門分野を学ぶことができる県立の専門学校です。クリエーター科には「木造建築」のコースもあり、少数精鋭で専門スキルを学ぶことができます。
Ms事務所とのつながりも深く、三澤文子さんはアカデミーが開学した2001年から9年間教鞭を取っており、辻充孝先生は事務所のOB生です。かくいう私もアカデミーの卒業生で、30歳を過ぎてから木造建築を学び直し、Msで設計の仕事に生かしています。
アカデミーには、実にユニーク!な「実践」の学びの場があります。
毎年、学生チームによる設計施工(=自力建設)で小さな木造建築をつくります。
この建物は、8年前に私たちのチームでつくった木造建築『2014年:森湊灯台(もりみなととうだい)』です。今回メンテナンス作業を行うとの連絡を頂き、久しぶりに現場を訪れました。
自力建設のスキルも向上しており、木工のラボ前につくられた樹状トラスによる軽快な庇『2021年:木立のこみち』は、既存の校舎によく馴染み、快適で使い勝手のよい空間に仕上がっています。
そして、辻先生・松井匠先生のご案内で、アカデミーの新しい施設「morinos~モリノス~」も見学させて頂きました!たくさんの賞を受賞しているので、ご存じの方も多いかもしれません。
V字の丸太柱が印象的な外観ですが、何より、森林環境教育の拠点としてアカデミーに関わるすべての人が喜び、誇りに思っている様子がビシビシと伝わってきました。
内部は真冬でも暖かく快適です。
岐阜県産材の木材の多用な活用方法、構造や温熱環境のシュミレーションや実測など、アカデミーの知見がふんだんに詰め込まれています!個人的には、トリプルガラスを用いた木製のカーテンウォールのつくり方に興味を持ちました。
詳しく知りたい方はアカデミーのHPをご覧ください↓ 圧巻の情報公開です。
https://www.forest.ac.jp/facilities/morinos/
また、松井匠先生には「林業機械学習棟」もご案内頂きました!
写真は屋根下にあるデッキですが、メンテナンス性を配慮してスノコを置くだけのつくり方をしています。実務的な視点でも学びが多くありました。
大屋根を見上げると、10M×10Mのスパンを飛ばすための「木造平行弦トラス」(構造:TE-DOK)のきれいな架構があります。アカデミー校舎のアイコンである木格子と共に、周辺の環境とよく調和しています。
こちらもアカデミーのHPに詳しく情報がアップされていますので、是非ご覧ください↓
https://www.forest.ac.jp/facilities/fmeb/
最後に木材加工の建屋を訪れると、新しく「4面モルダー」の機械が導入されていました。
ここでは、杉の巾はぎパネル(ACパネル)の製作なども行っており、建材の製作や加工も学生自ら行うことが可能です。
今回、約5年振りにアカデミーを訪問させて頂き、進化する姿にとても感銘を受けました。
いま振り返ると、年齢やキャリアの異なる多様なメンバーと過ごした2年間のおかげで、視野が広がり、チームで建築をつくることの大切さを学ぶことが出来たと思います。
ご案内いただいた、辻先生・松井匠先生、木造建築スタジオの皆さま、本当にありがとうございました!
皆さまも、是非一度、アカデミーを訪れてみてください。
きっと素晴らしい出会いや気づきがあると思います。
上野耕市