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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2024.07.06

旧竹林院へ行ってきました。

Ms日記をご覧のみなさま、こんにちは。今週のエムズ日記は堀田が担当します。
関西は梅雨に入り、雨の日が多くなっていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
僕は、今週の日曜日に実家の滋賀に帰ったついでに、滋賀県大津市にある旧竹林院という建築に行ってきました。
旧竹林院は僕が好きな建築の一つで、今回が3回目の訪問になります。
旧竹林院は比叡山延暦寺の高僧の隠居屋敷として1592年に建てられた歴史ある建築です。
昔の建築は建物もそうですが、庭が立派なものが多く、自然を見に行きたいときに、よく訪れています。

この日も
雨が降っていたのですが、訪れたときはちょうど雨がやんでいました。
雨上がりは建築と自然が映えるので、とても好きな瞬間です。

アプローチで見ごたえがあるのが、石の敷き方です。
門から入って一番最初の石畳は長方形の石が隙間なく、ピシッと敷き詰められています。
ここで屋敷の内と外とがはっきりと分けられ、屋敷という格式高い場所が意識されます。
そして中に入り、進んでいくと、違う石の敷き方になっているのに気づきます。
さっきの門の石のみっちりとした敷き方とは違い、自然の丸い石と、加工された細長い石とが組み合わされて敷かれていて遊び心を感じます。
雨上がりは石も濡れ色になり、苔もいい色をしていますね。
こちらは丸い石のみがポツポツと敷かれていて、上の2つよりも自然な感じがします。
同じ石でも形、敷き方の違いでこんなにもバリエーションがあります。

実はこの石の敷き方には、日本の建築や庭のデザインのルールが隠されているんです。

そのルールが「真・行・草」というものです。
昔はこのルールを基に建築や庭のデザインが行われていました。
格式の高い神社やお寺は「真」の石の敷き方がよく見られます。
「行」の敷き方は「真」を崩した場面で用いられ、「草」は「行」よりももっとラフに、より自然に溶け込むようにして使われます。

庭園や茶室などを訪れると、これらの敷き方を使い分けているのが見ることができます。
石の敷き方ひとつでいろんな個性があるので、面白いですね。

そして中に入ります。
部屋に入ると、パノラマのように庭が飛び込んできます。
毎回、この部屋に入る瞬間に、わぁっ!となります。

庭は山なりの地形に沿って、部屋からは緑の苔庭が、立っていても、座っていても見えるようになっています。
部屋の中から緑が見えるのはとても心地よく感じます。

エムズの事務所でも室内から庭の緑を見ることができます。

大きなガラスの開口部から、緑が広がっていて、このグレーのタイルの上に立っていると、室内にいながらも外との距離を近くに感じます。
伝統的な建築の縁側から外へのつながりと、エムズの事務所の庭へのつながりは似たものがあるように感じます。
最近の家は窓を小さくして、数も多くしない家が多いと聞きますが、やっぱり窓から緑が見えるのが心地いいと思います。
今回、旧竹林院を訪れて、先人が建築と同じくらい庭を大切に思っていたことが再確認できました。
これから設計を行っていくうえでも、庭とのつながりを意識していきたいと思います。
みなさまも滋賀に行くことがあれば、ぜひ、旧竹林院へ行ってみてください。

堀田