エムズ日記をご覧のみなさま、こんにちは。
立春を過ぎ冬の寒さが和らいできたと思ったらまた寒くなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
春の訪れより一足先に、事務所の椿の花が咲こうとしています。

今週のエムズ日記は髙田が担当いたします。
昨年より改修計画を進めていました千葉県流山市N邸にて、1月にデータロガーを設置して温度と湿度を計測しました。これで「夏」と「冬」のデータが集まったので、分析シートを作成します!
Msの改修物件では改修の前後に温度と湿度を測定して比較しています。計画段階で行う温熱計算だけではなく、実測データをとることでより精度の高い温熱設計が可能になるのです!
使用するのは、MsOBで現在、岐阜県立森林文化アカデミーの教授をしている辻先生が作成したExcelシートです。
私は今回、初めて使用しましたが大変使いやすく、また分かりやすかったです。
温度と湿度のデータはあっても、どこを見たら良いか、何を比較したら良いかが重要なポイントです。それがこのシートでは、少ないページの中に凝縮されています!
何気なく温度計・湿度計を見る習慣は感覚的なものさしを養ってくれますが、集中したデータ記録と分析は客観的な評価となり、住環境の見直しにもつながるでしょう。
ぜひ試してみたい!という方は丸福町家で「switchbot」という温湿度計を駆使している鈴木さんのエムズ日記を参考にして下さい!

ここからは具体的にシートの内容をご紹介します。まず、概要をまとめます。
所在地は千葉県流山市で省エネ基準地域区分は6地域になります。(おおよそ1が北海道、8が沖縄)。
建築年は1988年で現在、築38年です。築40年程度の物件では、断熱材が入っているが今の省エネ基準と比較すると不十分ということがほとんどです。
また、開口部は、一部を除き単板ガラスのアルミサッシでした。
そして、測定概要です。Msでは「おんどとり」というデータロガーを使用しています。
計測期間はおおよそ10~14日間とします。
ここがポイントです!その中から、夏であれば比較的気温が高く、かつ外気温が安定している3日間の内、2日目と3日目のデータを抽出します。理由は、前日の影響を等しくするためです。前日の外気温度や湿度が大きく異なると、翌日における蓄熱などの影響も大きく異なり、2日間のデータを正しく比較できません。
外気情報は、建物周辺に置いたデータロガーの実測データを用いることもあれば、気象庁が公開しているアメダスデータを用いることもあります。
今回は実測データを用いましたが、アメダスデータも信憑性が高いので、その分もう1部屋測るのもよいですね。
測定した部屋は、記載の通りです。1階と2階はそれぞれ、居室と非居室もそれぞれ測るとよいです。1階と2階については、上が部屋か屋根かで大きく異なりますし、また、リビングと廊下については、廊下が特に寒い!ということが多いからです。

ここから分析シートです。
記録したデータをExcelに入力することで、温度変化グラフを作成します。
上の「温度変化グラフ」は、どのくらいの温度帯にあるか、また時間に対する温度変化を見るためのものです。
N邸は、全ての部屋で昼に暑く夜に涼しい室温となっているのに対し、リビングだけは冷房の効果で常に涼しい室温となっています。
下の「温度域分布図」では、どのくらいの温度帯にあるか、また温度変化の大小を見ます。
スタジオ(フリールームのような部屋)と書斎は一時的に冷房をかけているため、温度域が比較的大きいです。

次に湿度について、温度と同じくグラフと分布図を見ます。
リビング・ダイニングとスタジオは、比較的湿度が低くなっています。これは壁仕上げがほかの部屋はクロス貼りなのに対し、珪藻土塗り・板張りとなっているためだと予測できます。

そして「不快指数グラフ」です。
不快指数とは、湿度による蒸し暑さを考慮した体感温度のひとつで、天気予報等で利用されています。
あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、日本の夏はじめっとした蒸し暑さで気温以上に暑く感じますよね。それを評価したものです!
算定式は以下の通りです。
不快指数=0.81×気温+0.01×相対湿度×(0.99×気温-14.3)+46.3
日本人の場合、77になると不快に感じる人が出はじめ、85になると93%の人が暑さによる不快を感じると言われています。
下の「容積絶対湿度」とは、1㎥ の空気の中に含まれる水蒸気量(g)を示します。湿度は温度の影響を受けるのに対して、容積絶対湿度はその影響を受けないため、夏と冬の水蒸気量を比較することもできます。


その後にデータ一覧と、数値による分析結果を載せて、最後に所見を書いています。
冬についても同様の形式で分析することで、夏と比較することができます。
このように、夏と冬の温度・湿度を分析することで、住宅の温熱環境を客観的にみることができます。改修前後で結果を比較してみると、改修の効果を数字でみることができ、改修の満足度をさらに高めてくれるでしょう。
Msには過去の改修物件のデータがたくさんあります。またひとつ貴重なデータがとれたということで、有効活用して次へつなげていきたいと思います。
今回、住まい手のNさんにご協力いただき初めての温湿度分析ができました。本当にありがとうございました!
髙田颯斗



