Ms日記をご覧の皆さま、こんにちは。
お盆休み中に中庭の雑草が大きく成長していたことには驚きましたが、キンカンに実がなり嬉しく思います。実がなったのは初めてらしく、成長が楽しみです!
さて、今回は私・髙田が7月に参加した千葉県流山市N邸の詳細調査について書きたいと思います。
N邸は、1988年にハウスメーカーによって建てられた鉄骨造の住宅です。かつてハウスメーカーに勤務していたMsスタッフの鈴木さんに協力してもらいながら、事前資料を確認していると、木造とは全く違う構造に気づきました。
鉄骨造にも工法はさまざまありますが、N邸はユニット工法によるものです。工場であらかじめ柱と梁を接合して鉄骨フレームをつくり、それを現場で積み木のように積み上げていきます。そのため、フレームとフレームが接する部分はそれぞれのフレームの柱が隣り合わせになり、2倍の径(幅)の柱とみなせます。1階フレームの天井梁と2階フレームの床梁が接する部分も同様に、2つ合わせた成(高さ)とみなせます。
ハウスメーカーによる住宅は独自の技術を使用しており、耐震診断・構造解析がハウスメーカー以外ではほぼ不可能です。N邸についても、今回は耐震性を調査対象外としました。
Msの行っている詳細調査とは、「住宅医による調査診断」にのっとったもので、以下6項目について診断します。
耐久性 / 耐震性 / 温熱性 / 省エネルギー性 / バリアフリー性 / 火災時の安全性
これらを、普段はなかなか見ることのない床下や小屋裏にも侵入して調査するのです。スタッフとしては、さまざまな住宅のつくりを図面だけでなく実物と併せて見ることができ、とても勉強になる機会です。
N邸の調査は、温熱改修を行いたいと希望する住まい手が、他の設計事務所に相談したところ「ハウスメーカー住宅の温熱改修は難しい」と断られ、Msへご相談に来ていただいたといういきさつです。築37年の住宅は断熱性能が低く、廊下・トイレ・脱衣所などが寒くなってしまうもので、N邸の場合はさらに暑さも大きな課題となっています。エアコンがない部屋については夜間も室温が30度を下回らず、長年改善したいと思っていたそうです。
詳細調査当日は、7月としては気温の低い涼しい日となりました。Msが関東で詳細調査を行うときは、住宅医の東京チームに力を借りています。N邸でも滝口さん、工藤さん、小森さん、田村さんの、頼もしい4人チームがやって来てくれました。私は午前中、工藤さんと劣化調査(耐久性)を担当しました。
お昼休憩の後は午前中の調査結果や進捗を共有します。下の写真、正面が小屋裏担当の田村さん、右側文子さんはヒアリングと採寸を担当、文子さんの隣が床下担当の小森さん、左側が工藤さんと私です。各班の話を聞いていると調査結果の辻褄が合っていき、より深い理解につながり、ちょっとした感動を覚えました。
東京チームのリーダーであり、住宅医協会事務局の滝口さんを紹介しようと思ったら写真がありませんでした。代わりに別のMsの調査の際の滝口さんの写真を置いておきます。N邸では、1階天井裏、外部設備、バリアフリー、火災時、アスベストと多岐にわたり調査してもらいました。
お昼休憩の世間話の中で滝口さんから、
「おうちのカビをどう処理したら良いかをネットで検索したら、AIによる概要のところに”住宅医に解決策を尋ねるといい”と書いてあったから住宅医に相談に来たんだ!」
という人がいたと聞きとても驚きました。文子さんも、それだけ住宅医の取り組みが認知されているんだと感激していました。
こんにち、既存住宅の改修の需要が高まっています。明確な基準をもとに、現状を適正に調査・診断し、使えるところは活かして壊れているところは修繕する。その知識と技術が求められています。
私がMsへ来た理由の1つが、もともと改修に興味があったからということもあり、これからも多くを経験し多くを学んでゆきます。
N邸については現在、調査報告書を作成中です。住まい手さんは調査結果を楽しみにしてくださっているので、やりがいを強く感じながら取り組んでいます。
まだまだ暑い日が続きますが、元気に過ごしていきましょう。
髙田颯斗