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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2025.06.28

Msで5年3か月。無事卒業(退職)します!

Ms日記をご覧の皆様

この春から夏へと向かう季節の境目に、一つの区切りを迎えることとなりました。私、中尾は6月30日をもちまして、5年間勤めたMs建築設計事務所を卒業(退職)いたします。

つまり、今回のMs日記が私にとって最後の担当回となります。これまで私の記事を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。

私は”余韻に浸る時間”がとても好きなのですが、こうしてMs日記を書いている今も、まさにその余韻を感じながら言葉を紡ぐことができ、幸せを噛みしめています。Msで過ごした5年間は、今後の人生の礎となることは、明瞭です。(少し詩的な気分であり、文章が多少くさいのはご愛嬌ということで!)

初めてMsに足を踏み入れた日、緊張と期待が入り混じっていたことを今でも鮮明に覚えています。しっかり振り返らないと、この5年間の経験が薄れてしまいそうで・・・でも決して薄れてはいけない大切な日々だったからこそ、こうしてMs日記に今の心境を残す時間をいただけたことに、感謝しています。

Msでは入所してから早速。物件の主担当を任せていただけます。これは、「本番(担当物件)を通じて学ぶ」というMsの教育方針によるものです。これはスタッフにとっては、大きなプレッシャーでもありますが、その分ありがたい学びの機会でもあります。

新卒1年目。当時20歳の私は、このプレッシャーにつぶれそうになったこともありました。そんなある日、車の運転中に文子さんから「”建築が好き”最初はそれだけでいいんだよ」という言葉をかけていただきました。その一言が当時の私の心にスッと染み入り、精神が整ったのを今でもよく覚えています。

最近開講した第1回MOKスクール『大工の伝統技術~数寄屋大工と宮大工の技を継ぐ』にて、木又校長が「師匠に教えてもらったことは何ですか?」と中野克彦さんと藤田大さんに問いかけておられました。

MOKスクール

もし私がその質問を受けていたら、何と答えていただろうか…と考えながら会場にいました。
そして今の私の答えは2つの言葉にたどり着きました。

「先手必勝!」
これは何度文子さんに言われたことか(笑)。
わかっていても、自分のものとして消化するのはなかなか難しく…でも、この言葉の奥には設計者としての姿勢と本質が凝縮されている気がします。

「つくり手の気持ちを考えて図面を描きなさい!」
これは、現場と密接に関わるMsの仕事の進め方、そして文子さんの背中から教えていただいた、私にとっての大切な軸です。住まい手・つくり手・設計者 三者の距離が近いMsだからこそ学ぶことができたことだと思っています。

鈴木邸床下調査

ここでMsでの思い出の写真を1枚。文子さんが気に入ってくださっている私の写真を添えさせていただきました。これは、「丸福町屋(鈴木邸)」の床下調査の際に撮った写真で、「泥だらけなのに笑顔なのがいい!」と、文子さんが各所の講演会で使ってくださっているそうです(笑

食事の様子

さて、2020年私が入所した年は、まさに「コロナ禍」の始まりでした。同年5月から始まった「ふみこ食堂」では、仲間と食卓を囲む幸せや、丁寧に配膳された食事がもたらす静かな豊かさを身をもって感じさせていただきました。”食事”という日常の行為が、こんなにも尊いものだということを教わりました。

人として、そして設計者として、確かに歩を進めた5年間でした。Msが掲げる「設計者であるとともに生活者である」という言葉の意味の深さを、日々文子さんの背中を通して感じていました。植物や生き物を慈しむ心も、Msという環境の中で自然と育てていただいた感性です。

今後の進路については、ここであまり仰々しく綴ると決意表明のようになってしまいそうなので控えておきますが(笑)、自分のこれからがとても楽しみで、ワクワクしているのはたしかです。

この場を借りて、事務所で出会ったすべての方々、住まい手の皆さま、同じ時間を過ごしたスタッフに、心より感謝を申し上げます。

土絵と本の家現場

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
私の好きな写真で締めくくりたいと思います。

――それでは皆さまへ――

ボン・ボヤージュ(Bon Voyage)
それぞれの道が、穏やかな旅でありますように

中尾瞭允