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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2022.05.01

漆塗り@横浜~沢田欣也氏登場~

春から初夏の梅雨前の心地よい季節、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

今週のテーマは、Ms建築の重要な要素である「漆塗り」。そして漆塗りといえば沢田欣也さん。これまでもMs日記でご紹介していますが、今回は2年ぶりのご登場です。

4月2123日に現在施工中の横浜のK邸に来ていただき、玄関の敷板と2階の梁の塗装をお願いしました。

玄関の敷板は、これもまたMs建築の重要な要素である「タモパネル」に「名栗加工」を施した1,000m×3,000mの大判の材です。

まずは色付け。弁柄と柿渋を混ぜたもので着色します。漆自体にも色はありますが、半透明なので下塗りが透けて見えて奥行きのある色味に仕上がります。構造材に漆を塗るのは北陸の建築様式で、北前船が寄港する港町に広まったのだそうです。赤い色は魔除けの意味もあるのだとか。そういえば、神社の鳥居も赤いですね。

乾燥を待つ間に、2階の梁の色付けも行います。壁や床に塗料が付かないよう丁寧に養生をしています。作業は乾燥の合間を利用して交互に塗装し、平行して進めて行きます。

漆は酵素の働きで発色するそうで、乾燥といっても気温20度以上、湿度70%以上が必要です。通常は専用の室(むろ)に入れますが、今回は現場監督の阿部さんのご協力により、ガレージの一画をブルーシートで仕切って作った簡易的な室(むろ)に玄関敷板を持ち込んで作業です。

下塗りが乾いたのを確認して、いよいよ1回目の漆塗り。刷毛で塗った直後は色があまり出ないのですが、布で拭いてなじませると乾燥するにつれて徐々に漆が発色してきます。変化のスピードが速いので、まるで手品か魔法を見ているようです。

2階の梁も、同様に1回目の漆塗りです。養生用のマスカーで囲い、湯沸かしポットで湿度を上げます。室の中はサウナ状態です。欣也さんがシャツを着替えていることからも、おわかりいただけると思います。

漆塗りと乾燥を繰り返し、34回塗ります。塗る度に色味に深みが増して行きます。この材料が玄関に据え付けられるのが楽しみです。

大阪の物件ではMsスタッフが参加することも多い漆塗装ですが、今回は叶わなかったことが心残りです。また別の機会にその経験ができることを楽しみに、日々の仕事に励んでいきたいと思います。

 

松岡利香