宿泊体験の感想~断熱性能実測~
日中はまだ暑さが残っていますが、朝夕はだいぶ秋らしい風を感じられるようになりました。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
8月末に少し変わったお客様をお迎えした胡桃山荘。その時の感想をご報告させて頂きます。
今回のお客様は岐阜県立森林文化アカデミーの学生さん。宿泊の目的は、胡桃山荘の断熱性能を数値で計測するため。
何やら見慣れない機器が持ち込まれ、胡桃山荘も普段とは少し様子が異なるようです。
以下、学生さんから頂いた感想です。(文章、写真とも学生さんから提供頂きました)
―――――――――――――――――――――――――――――――
まだまだ夏の厳しい暑さが残る8月29日、30日、胡桃山荘へ宿泊体験させていただきました。
今回1人。木の住まいにおける日射熱の影響について実測することが目的だったため「木の住まい」には似つかわしくない怪しいモノを持ち込んでの宿泊となりました。
この一見怪しい通信機のように見えるもの、実は「熱電対」といって物の表面温度を測る機械なのです。
窓から入ってくる太陽の光によって無垢の木の壁床天井がどのように暖まり、室内の温度がどう変化するのかを計測させていただきました。
多くの人が夏の胡桃山荘で体感されていることの1つに、ひんやり感があると思います。
これは断熱性能が高いことに加え、ロールカーテンや庇で日射を入れないこと、そして屋根の上に乗せている「そよかぜ」という機械で、夜間に冷えた空気を床下のコンクリートへ送り冷たさを蓄えているからだと考えられます。
今回はあえてカーテンを開け「そよかぜ」を停止し、太陽の光が入る中、窓を閉め切っての計測開始です。
ひんやりしていた室内も、太陽があたる床の温度が上がるにつれて徐々に上昇します。
結果としては、直射日光のあたる床の最高温度が39.7度(あたらない床は26.9度)になり、室温は丸1日で2.6度上昇しました。
この室温の上昇は、日射熱を入れたからだと考えられます。測定中はあいにくの曇り空で総日射時間が5時間(気象庁辰野観測地点より)と少なかったにもかかわらず、これだけ室温が上昇することがわかりました。夏場は、カーテンや庇や簾をうまく使い、まず日射を家の中に入れないことが大事なようです。
同時に外気温に比べて室温の変化の幅が少ないことがグラフから分かります。これは断熱性能が高いことと、前日までの「そよかぜ」による床下への蓄冷が影響していると考えられます。このことは胡桃山荘の特徴であり、室内が心地よいと感じる要素の1つだと思います。
今回は実測ということで、本来の胡桃山荘の楽しみ方とは少し違った滞在でしたが、純粋に建物の性能を肌で感じられる、貴重な経験ができました。
ありがとうございます。
―――――――――――――――――――――――――――――――