宿泊体験の感想~胡桃山荘の3つの顔~
(以下、文章・写真ともUさんから頂きました)
4月28・29日に宿泊させていただいたUです。私は設計者の卵です(31才)。これから設計者として木の住まいを本格的に勉強していきたいと思い、Ms建築設計事務所に伺ったところ、三澤様に胡桃山荘への宿泊をすすめていただきました。
半分は私の勉強、半分は家族サービスを目的に、私・妻・息子(4才)・両親の計5人で、名古屋から車でお邪魔いたしました。薪ストーブに夜8時に最後に薪を入れたところ、朝6時の室温は15℃でした。(外気温は3℃)
【昼と夜、そして深夜】
胡桃山荘には「昼と夜、そして深夜」。3つの顔がありました。
昼。
昼の胡桃山荘は外を向いておりました。主役は、2本の栗の木。キーワードは、一直線。
私たちはほとんどの時間を窓辺で過ごしました。
私は、1階のベンチクッションに荷物を置いて、そこで昼寝をしたのですが、目を覚ました時にみた風景がとても印象に残っています。5人の家族が一直線上にいました。
私はベンチクッション、父は低座椅子、母は窓の内側、妻はテラス、息子は外。その奥に2本の栗の木。そのまた奥に仙丈ヶ岳。昼は、一直線。ベンチクッションから仙丈ヶ岳までがひとつにつながって、ゆっくりと広がっていくような、ああなんていい気持ち。奥行きのある自然。それが昼の顔でした。(ベンチクッションから、2本の栗の木まで約25m)
北側に小さく寄せた建物配置、足をのばせるベンチソファとテラス、思わず腰かけてしまう2階の胡桃のベンチ。(天井の低さ!桁下まで2FL+1615mm)それらはしっかりと2本の栗の木を見据えておりました。
あくる日、主役の2本の栗の木を見に行くと、隣の敷地に植わっており本当に驚きました。胡桃の木から2本の栗の木まで約32mのパノラマモードの写真です。
夜。
夜の胡桃山荘は内を向いておりました。主役は、チークのテーブル。キーワードは、円。
私たちはほとんどキッチンで過ごしました。夜の主役は、丸みがかった台形型のチークのテーブルでした。寝る前に撮った キッチンの様子です。
小さく円を描くように、テーブルのまわりに椅子が集まりました。夕食も、息子を寝かせた後の大人のおやつタイムもここで。昼とうって変わって、近い距離。濃密な時間。写真もうまく撮れません。テーブルのまわりは、一段下がった床。(FL-180mm)天板の高さは680mm、男の椅子の座面高さは350mm。脇に、8角の大黒柱と6角の変形柱(栗)が控えている。
夜は円。
6m×6m平面の、さらにその約4分の一。直径3mの小さな円に集まるわたしたち家族。それが夜の顔でした。トイレの黒漆・ 名栗加工の内壁も、満月に浮かび上がる照明も夜向けでした。
そして、深夜。
深夜の胡桃山荘は、どこにも向いておりません。主役は、8角の大黒柱。キーワードは、真ん中。
眼鏡を外し、疲れた目をこすりながら階段を降りていくと、キッチンの灯りを背景に、太い影。深夜の主役は、8角の大黒柱でした。縦に細長い影が、微妙に色を変えながら8角をなす。
深夜は、真ん中。
なんて静かなんでしょう。思わず寄りかかってしまいました。寄りかかったあと、両の腕で大黒柱を抱きしめました。柱を抱きしめた自分に驚きましたが、抱きしめた柱が、ちょうど私の両の腕の輪に、すっぽりとおさまる太さになっていたことに、いっそう驚いてしまいました。大黒柱の円周960m
m。(コンク リートの電柱とほぼ同じ)私の腕の輪の円周1200mm。深夜に際立つ存在感。8角の大黒柱は、どこも向いていないようで、家の真ん中から、8つの方向をじっと見ていたのかもしれません。小川のせせらぎだけが聞こえてまいりました。
昼と夜、そして深夜の胡桃山荘。
夏と秋と冬も、ぜひお邪魔させていただきたいです!
ありがとうございました。
(以上、Uさんからの感想)
宿泊体験することで胡桃山荘の”3つの顔”を感じられたUさん。数時間の滞在時間だけでは体験しえないことかもしれません。これまでの住体験によっても人様々な印象を持つのではないでしょうか。マンション住まいの人にとっての木の住まい、木の住まいに住み続けてきた人にとっての新たな木の住まい等々。是非また別の季節にも宿泊して胡桃山荘の”他の顔”をさがして頂ければと思います。