MOKゼミ神戸2013 最終回のご報告
先日、MOKゼミ神戸11月を開催いたしました。
今回のテーマは「実際の木の住まいを体感する」ということで、三澤夫妻の自邸にお集まりいただきました。
28年前の新築時より、家族や技術の変化と共に手入れをされてきた三澤邸です。
その履歴と、この夏大きく改修された構造・温熱改修の内容についてメインにお話させていただきました。
工事中の写真を見ながらご説明をしたあとには、実際に家の中のものを動かしたり触ったりしながら、解説していきます。
壁の中から現れた引き戸は、暖房する範囲を区切るためのもの。
透明の部分はガラスではなくポリカツインという素材を使用しています。断熱効果もあり、とても軽いので開け閉めが楽にできます。
夏は開け放して開放的に、冬は閉じて暖かにすごす工夫です。
開放的な大きな窓は、建具屋さんに作ってもらった木製のもの。
雰囲気は良いのですが、気密などの性能は工業製品には及びません。
その部分をカバーするのが、日差しを入れない格子の網戸や、断熱性をもつ室内側のスクリーンです。
このハニカムサーモスクリーンは高性能であり、既存の住まいに取り付けることも可能です。
紙製であり、障子的な雰囲気も木の住まいに似合います。
6年前に張り替えたナラのフローリングは、自然素材の塗料である「漆」をかけたもの。「漆」は紫外線にあたると変色していきますが、自然素材の経年変化には独特の「味」があります。参加者の方々も、足触り手触りと、その深い色味を体感されていました。
講義の後は、三澤文子氏の手作り料理を囲みながらの談話となりました。おしゃべりをしたり、料理を食べたり、実際の住まい方に近い状況で、木の住まいを考える良い機会になったのではないでしょうか。皆さんお話が盛り上がり、予定時間を延長しての楽しい講義となりました。
木の住まいには、長所だけでなく短所もあります。それをカバーするのは、大掛かりな機器ではなく、意外と小さな工夫の積み重ねや、住まい方ではないでしょうか。設計者の自邸ということもあり、実験的なものも含めた工夫の数々を、実際に見ていただきながら解説した今回のMOKゼミ神戸。これまでの講義の内容を踏まえた、まとめの回となりました。
今回で、2013年度MOKゼミ神戸は最終回となります。
来年度の予定はまだ未定ですが、詳細が決まりましたら随時Msホームページにてご案内いたします。
来年も、木の住まいにご興味のある皆さまと一緒に学べることを楽しみにしております。