ポーチから広がる輪 ~豊中・和居庵/1年メンテナンス~
9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続いています。
竣工後1年のメンテナンスにて、豊中・和居庵を訪問しました。
Ms事務所から車で15分。
シンボルの松の木と、木塀による街並みがつくられています。
1年メンテナンスでは、
施工して頂いた、キサブロウ;沖本さんと共に、
建物の外部、内部、床下まで、異常がないかぐるりと見て廻りました。
幸い、大きな異常は見られませんでしたが、
門扉の格子戸が、湿気で膨れて開閉しづらい状態でした。
沖本さんがすぐに調整して下さり、塗装でタッチアップを行いました。
その他、利用頻度の高い、外廻りの天板の汚れは、
サンダーで削った上で、オイル塗装をやり直しました。
住まい手さんによると、
『リビングの掃き出し窓は、日常的に出入りしており、ほぼ玄関です!(笑)』とのこと。
これから、下足箱の扉もメンテナンス調整を行う予定です。
さて、
豊中・和居庵の大きな特徴は、このポーチです。
門扉からスロープを上がると、リビングに直接入ることができます。
大きな庇をかけることで、庭と生活空間をやわらかく繋いでいます。
ポーチの一角に、陶器のコップ類を発見しました。
なんと! 住まい手さん自ら製作されたものでした。
<ポーチ=創作の場となっているようです>
経緯を尋ねると、
『トイレの”洗面ボウル(ITOIボウル)”が気に入って、製作者である”糸井康博さん”の陶芸教室に通っています』
との嬉しいコメントを頂きました。
糸井康博さんは、奈良県在住の陶芸家です。
定期的にMs事務所を訪問してくださり、上写真は、この8月に来所された際の様子です。
三澤文子とは、20年来の付き合いです。
三澤が大阪芸術大学で教鞭を取っていた時期の教え子にあたる(当時は、建築を学んでいたようです)と聞いています。
糸井さん製作のITOIボウル<Ms定番>は、松やカシなどの天然灰の釉薬を使っており、多くのファンがいます。
全国で個展を開催されているので、ご存じの方も多いかと思います。
(写真:畑拓氏)
今回、思いがけない形でポーチを利用して下さっている様子を拝見し、とても嬉しかったです。
住まい手さんのいきいきとした表情も印象的でした。
これからも、人の輪を広げていくような、豊かな空間をつくっていきたいと思います。
上野耕市