2011.10.05
I邸が着工しました。(その2)既存の構造材について<長期優良住宅先導事業―既存住宅等の改修部門>※国土交通省採択事業
I邸の着工(その2)既存の構造材についてです。
こちらはI邸の現場で撮った写真ですが、柱、梁だけでなく、根太、筋交、火打ち、羽子板ボルトなどが確認いただけるのではないでしょうか。
I邸は改修物件の為、既存の柱、梁等はありますが、新しい柱を十数本追加いたします。奈良の吉野の杉が中心で他にはケヤキなどもあります。
以前の調査を含め構造材には蟻害、腐朽といった生物的な影響による柱等の強度不足は見当たらなかったのですが、いざ既存の天井、壁、床をすべて取り払ってみると、以前の納まりによる大きな断面欠損を持った材が確認できたからです。赤い丸の箇所が断面欠損になります。
現場をみているからこそ、わかることではないでしょうか。もちろん、小さな断面欠損ならば埋め木で対応することになりますが、柱の半分以上の断面欠損ですと埋め木で対応せず、その柱については、新しい柱と交換することになります。住まい手の安全と安心をトータルで考えていれば、ごく自然なことではないでしょうか。
こちらは小さな断面欠損ですので、埋め木作業をしていく箇所になります。
こちらは大工さんが小さな断面欠損を埋め木による作業をしているところとなります。
いくら小さな断面欠損とはいえ、ほぼ全ての断面欠損の寸法が異なる為、現場で欠損の長さ、幅、奥行きを計り、全て大工さんの手仕事ととなります。
こちらは、柱の4面全てに欠きがされており、実質的な柱の太さは半分以下となるため、本改修では柱の交換となる箇所です。
これらの作業は人間で例えるなら、病院で行なう足や腕や背中といった骨の部分の外科手術を行なっている工程ではないでしょうか。
元気になった住宅が退院して住まい手に安心と安全を提供できることを思っている次第です。