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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2013.12.06

MOKスクール 岐阜・白鳥ツアー2日目

前回に引き続き、MOKスクール 岐阜・白鳥ツアー2日目の様子をご紹介します。

お世話になった高山・四反田さんを後にし、一行は「世界文化遺産 白川郷・五箇山の合掌造り集落」に向かいました。

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この日も快晴!ツアー日和です。

まずは白川村集落を一望します。

家々が、谷に沿って並んでいるのがわかります。

この谷の積雪・風向き・日射等の自然条件を考慮し、造られた建物が並ぶ様は美しいです。

重要文化財の和田家では、丸太と縄で組み上げられた切妻合掌造り構造を、間近で見ることが出来ました。


お昼からは東海北陸道を南下し、美濃市・岐阜県立森林文化アカデミーへ。

岐阜県立林業短期大学を前身とし、森林・木材をどう活用するかという視点から

林業・自然教育・山村づくり・木工・木造建築の5つの講座をもつ専修学校です。

9月にMOKスクールで講義をしていただいた、辻充孝准教授に学内を案内していただきました。

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ふんだんに岐阜県産の木材を使った校舎は、広いウッドデッキが印象的です。

しかし、屋根のかからないウッドデッキは雨ざらし、更には夜間の放射冷却で霜が降りるため、腐朽が至る所に見られます。

デッキをはがした部分を見ると、構造材にも腐朽が進んでいるのがわかります。

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デッキ材を上からビス(ねじ釘)で留めている穴から、水が浸入するのが原因の一つとのこと。

学内にはビスの留め方や、ビスを使わない工夫をしたデッキの試験体が並べられており、その効果が実験されています。

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また木造建築講座の1年生によって、ウッドデッキの補修と、校舎間の主な動線となるデッキの上に屋根を架ける工事が行われていました。

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生徒自ら計画・設計・施工まで全てを行う「自力建設」という授業で作成されているものです。

デッキをユニット化し、腐った場合には簡単に取り替えられるように工夫するとのこと。

時を経た校舎から学び、実際の設計に活かす取り組みが行われています。

完成が楽しみです!


その後、アカデミーのすぐ傍にある「道の駅 にわか茶屋」へ。

MOKスクールでもご紹介いただいた、辻先生設計の建物です。

使われている木材はもちろん岐阜県産材。

木材を調達する山の成長を考慮して、使う木材の大きさを決定されたそう
です。

木材の生産側と話をすることで、無駄がなく意味のある設計ができるとのこと。

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建物内も外も、市場・イベント・展示会など様々に使われていてとても活気がありました。

そしてMOKスクールツアーの締めくくりに、「うだつの上がる町並み」に訪れました。

「うだつ」とは、家と家の間に建てられた防火壁のこと。

慣用句の「うだつがあがる」とは、「防火壁を建てる必要があるほどの街中に家建てられるくらい成功した」ということ。

つまり富と成功の象徴でもあります。

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写真は重要文化財でもある小坂酒造さんのうだつです。

美しいむくりの屋根が特徴的です。

まさに今「うだつをあげている」のは、アカデミーの卒業生でもあるACクラフトの石井さんです。

工房とショップを見学させていただきました。

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P1010012(左写真:AC CRAFT HPより)

製作・販売されている「身近な山の木シリーズ」は、日本のスギやカラマツで造られた家具です。

丁度一日目に見学させていただいた白鳥林工さんから、材料が届いていました。

日本の山で、今何が育っているのかを知り、活用することで山も元気になります。

軽く軟らかな材質であるスギやカラマツは、暮らしにそっと寄り添う家具になります。

日本の森林と暮らしを見据えたものづくりを実践されていらっしゃいました。


山から町まで、盛りだくさんの内容だったMOKツアーもこれにて終了です。

ご案内してくださった辻先生、石井さん、本当にありがとうございます。


木の住まいの実務者を対象にした講座であるMOKスクールは、次回12月14日(土)が今年最後の講義になります。

お迎えする先生は木造防耐火の安井昇先生、プロダクトデザインの小泉誠先生です。

ご興味のある方は、MOKスクールHPより是非お申込ください。


スタッフ:山本