Ms オリジナル照明 ~ 木の家に馴染む、上質でシンプルな灯り
「LED電球は省エネであるし、これは積極的に使わないと!」という機運になって、かなりの年月が経ちました。そんな中でいつの間にか、照明器具メーカーのカタログには「あれ、電球がきれた。では電球を交換しよう。」といったことが可能になる器具は、ほぼ姿を消し、器具と電球が一体になった製品が主流になってきました。
これでは、電球が切れたら、器具ごと交換しなければなりません。白熱電球や蛍光灯の時代は、数百円での電球の交換で済んだのに、数千円、数万円の器具の交換となる訳です。
「LEDは15年以上、切れませんから。」との説明も、「15年前って、つい最近のことだけど。」と言い返します。
15年だろうと、30年だろうと、器具ごと取り換えるという発想にはなじめません。
そこで、私たちは、ロングライフデザインの照明部品「ガイシ」を使って照明計画をします。名付けて、「Ms照明デザイン」です。
灯りが消えている時と、ついている時を並べてみました。
天井板に取り付いている陶器製のガイシE26、それに、乳白のボール電球が付いています。
今は、こんなLEDランプのボール球も手に入ります。
これは可愛い ガイシE17。E26が普通の大きさLED電球用で、E17はミニ電球用です。2つ付いたビス穴が、絶妙に可愛いのです。
可愛いミニ電球というと、暗いのでは?と心配されますが、明るさの単位ルーメンを把握すれば、問題ありません。
このキッチン、シンクの上は E17のガイシが2個で 760ルーメンのLED電球が2個ですが、調理作業に全く問題ありません。
ルーメン(lm)とは明るさを示す単位の1つです。明るさを示す単位にはおなじみのワット(W)がありましたが、現在では照明器具の多くがルーメン表記を採用しています。
なぜかというと、そもそもワットとは、明るさではなく消費電力を表す単位で白熱電球の性能を示すにはいいとしても、LED電球は、少ない消費電力で強い明るさを出すことができるので、LEDの性能を表示するには不便ということらしいです。
それにしてもダウンライトも器具ごと替えるとは嘆かわしいことです。しかもそれらは安物に見えるのは何故でしょう。LED電球を取り換えることが出来る既製品のダウンライトもありますが、前者に比べお高いので、コストを抑えるために、器具ごと替えるタイプを皆さん選ぶことになります。
そこで、Msデザイン照明は ただ天井に穴をあけるだけのダウンライト、その名もMOKダウンです。
さりげなく上品でシンプル。天井の中に木の箱が仕込まれていて、天井板には丸い穴(90φ)をあけるだけ。これは、大工さんがつくる造作照明器具となります。
これは、「満月一文字」という名の天井照明でもあり、点検口でもあります。アクリルと真ん中の桟を外すと、450㎜φの点検口になります。天井裏を照らすライトが今、廊下に向けた灯りになっているという訳です。
大阪ガスの実験住宅NEXT21の「風香る舎」の和室には、「シラザキ」という名の和風照明器具があります。これも大工造作照明のひとつ。中には、E17のガイシ4個と、LEDミニLED電球が4個入っています。
ご紹介の最後は、「シンカンセン」
杉材を、シンカンセンN700系の形に加工して、それに漆塗りを施します。ランプは透明ガラスのレトロランプ。こんなLEDランプもあるのですね。
この照明計画では、照明器具代が 既製品使用の、十分の一になります。安くても上質にみえるなんて、こんなに素敵な方法はありません。ただし、この手法は 木の家だからこそ、最高に馴染むのですが。
(三澤文子)