12月に入り、冬の訪れを感じる季節になりました。
時の流れは早いもので、豊中市Y邸では、7月30日の着工から約4ヶ月が経過しました。
本日は中間報告を兼ねて、大工棟梁である沖本雅章さんの仕事をレポートしたいと思います。
沖本雅章さんは、『㐂三郎(きさぶろう)』の屋号で木の住まいをつくる、豊中市在住の大工棟梁です。
実は、沖本さんと知り合ってから、まだ1年も経っていません。
MOKスクールの集まりなどで、『沖本さんという腕の良い大工がいる』という噂話を聞いておりましたが、出会ったのは、2018年の春頃、大阪市内にある材木屋さんでした。
Ms三澤と話しが弾み、その後、沖本さんが過去に担当された物件を見せてもらう機会があり、
大工としての腕の良さに加え、『センスの良さ』・『柔軟な発想』に魅かれて、今回、はじめてお仕事をご一緒することになりました。
一人親方である沖本さんとは、Ms事務所と二人三脚で仕事を進めています。
思い返せば、夏の基礎工事では、Y邸の特徴の一つである『スロープ付のポーチ』について、何度も現場打合せを重ねて、短工期で、きれいな仕上がりとすることができました。
沖本さんは、大工であり、現場監督であり、
材料の調達から職人さんの手配まで、すべてを一手に引き受けます。
前回のMsブログにてご紹介した通り、Y邸は『手刻み』の現場です。
10月中旬の建て方では、沖本さん大工チームにとって、はじめてのJパネル×Dボルト工法でしが、
『複雑やな~(沖本さん 笑)』といいつつも、2日間で、見事に組み上げていただきました。
現在は、屋根工事も無事完了し、外壁まわりの工事を進めています。
Y邸はコンパクトな住まいですが、沖本さんの”キラリ!大工仕事”が随所にちりばめられています。
上写真は、「破風板」の継手の様子です。
堅木のチギリを、上部から差し込んで、経年変化で材同士がずれない様に工夫しています。
『木とお喋りするねん(沖本さん)』が口癖で、
穏やかな口調で、いつも現場では、木の使い方・納め方について話をしてくださいます。
さて、沖本さんといえば!『チョウナハツリ』です。今では、チョウナハツリの技術を持つ大工さんも少なくなっていると聞きますが、関西には沖本さんがいます。
上写真は、「建替え前」のY邸の写真です。
沖本さんの目で、「このポーチ柱とピーラーの梁は、良材なので、必ず使える」との話しを受け、解体前に取り出して頂きました。
左写真は、ポーチ柱を「チョウナハツリ」で仕上げた様子です。
片面は、あえて「面付き」で残しています。ここから、さらにMsにて「漆仕上げ」を施す予定です。
右写真は、ピーラー梁を、カンナ削りで仕上げた様子です。目づまりが良く、赤身で美しい「縮み杢」があわられました。これには、住まい手さんも大喜びです。
今回は、現場も近く(Msから車で15分)、住まい手さんの仮住まいも、現場の道向かいです。
住まい手。大工。設計士。
3者が近い距離で、お互いに会話をしながら、丁寧に仕事を進めています。
『ワクワクする(住まい手さん談)』気持ちで、全員が、ものづくりの過程を楽しんでいます。
工事は中間地点を迎え、今後、造作工事が本格化していきます。
「沖本さんとつくる手刻みの木のすまい」
完成をお楽しみに!
スタッフ 上野耕市