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Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2019.07.20

豊中和居庵のご紹介 ~ 畑拓さんの写真お披露目

5月の中旬にカメラマンの畑拓さんが来阪し3住宅の写真を撮ってもらいました。それらが、やっとこのたびMsのHPにアップされました。

その中から、今年4月に竣工しました「豊中和居庵」のご紹介をいたします。
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写真左手が 豊中和居庵。右手は21年前、1998年竣工の三澤康彦設計T邸です。和居庵の住まい手Yさんが、今まで住んだ大きな家を解体して、小さな家に建て替える方針を立て始めたころ、「そういえばお隣の家がちょうど希望の大きさぐらいかもしれない。」と初めてお隣の家の中を見せて頂いたそうです。 その時の木の家の印象の良さが心に残って、なんとMsにお声をかけてくださったのです。
YさんがMsを訪ねてくださった時には、すでに三澤康彦さんは亡く、三澤文子が設計をさせて頂くことになりました。三澤さんが生きていたら、さぞ喜んだことでしょう。

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施工は 大工の沖本雅章(キサブロウ)さんです。沖本さんとの出会いは、橘商店の橘さんがご縁、そして当時、豊中在住であった沖本さんを、住まい手のYさんもとても気にいられて、施工をお願いすることになったのです。とてもベーシックな小さな木の家を丹念につくって頂くことができました。

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間口は2間半とスリムに見えますが、東からみれば変形切妻の大屋根です。写真右手に全面道路があり、道路寄りに玄関が見えます。玄関ポーチはそのままスロープでリビングのテラスまで続きます。
2階の外壁は金属板(耐磨カラーGL)横葺きですが、東の庇の下は、皮をむいて中身が現れたかのように、無塗装の杉板が肌に近い色味に見えています。

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大きな庇のあるスロープテラス。なんともおおらかな表情だと思います。

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まずは玄関から。
今回アプローチは階段を使わずに全てスロープを徹底したために、玄関は2段のステップが出来てしまいました。 でもそこには名栗仕上げで漆塗りの敷台があり、最近のMsの定番スタイルのシックな玄関スペースになりました。ここに段差が2段つきましたが、アプローチテラスによって、リビングへは段差少なく中へ入ることができています。

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栗の床板や廊下からリビングに続く桧板、杉の腰壁と栗の見切り。
柱はYさんの取り壊した家から救済した床柱を沖本さんがナグリ加工をして、Msスタッフが漆塗りをしたものです。

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壁、天井は赤身の杉材。とてもいい色です。
正面の板の張り方も個性的で、下駄箱の天板が切れたところから、白太と赤味の板がツートンに張られています。おそらく材を見ながら考えて選んだんだな・・・と、沖本さんの意図を探るのも楽しいものです。

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廊下からキッチンを通りリビングへ。吹抜けのリビングは、外観の屋根の形どおり、南に向かって低くなり、リビングの先に見えるYさんの書斎兼寝室の桁高は、丁度いい高さになっています。
天井垂木(75㎜×180)も赤身の芯去り材、2面無地で色がまとまっています。

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東に開いた窓は、テラスへの出入口でもあります。手前のベンチソファーに座って見える外の景色は、目線の先に空いた雪見障子の仕組みを使った庭見障子。
「できれば桜の木を植樹してほしい。」と、訪ねるたびにYさんにお願いしています。

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リビングの西は浴室から洗面脱衣、衣類収納、そして南の洗濯室に続く裏ルートがあります。こういう収納+家事空間がしっかり出来ていることで、日々の暮らしが美しく保たれるのです。

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2階は息子さんの空間。天井高さを抑えた空間はきっと落ち着いた居場所になるはずです。

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2階の寝室から見下ろすリビングダイニング。
東のテラスとのつながり、高窓からの予想通りの適切な採光を得ることも確認できてひと安心。これから真夏の暮らしが始まります。予想通りの温湿度になるのかどうかケアーをしていこうと思います。
すごしやすい小さな木の家。思いやりのある住まいづくりが実るのかどうか、今後も見守っていきます。

写真:畑拓

文:三澤文子

<豊中和居庵 過去の記事もご覧ください>

1.豊中和居庵 木材検査の様子「木材検査でバトンリレー」 

2.豊中和居庵 手刻みの様子「大工さんと仲間達」 

3.豊中和居庵 JパネルDボルトでのY邸の建て方の様子「”手刻み”の木の住まい~中間報告」 

4.豊中和居庵  「竣工しました!」