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9月にオープンした古民家の宿:長者屋。
本日は、「建具」を切り口にレポートしたいと思います。
上写真は、長者屋の玄関扉です。
古民家の改修では、「建具」がネックとなることが多く、築200年を超える長者屋でも、色々な工夫を行いました。
上写真は、外観です。
建具を考える際、古民家の持つ風合いに”どう調和させていくか”が重要です。
違和感なく、自然な印象に仕上げたいところです。
玄関扉は、上写真の様に、新しく地元の杉を用いてつくり直しましたが、
デザインは、あえて周辺の既存建具の意匠(寸法・桟割り)を踏襲しています。
次に、「塗装」です。
既製品の塗料を用いると、どうしても艶感が強く出てしまいます。
今回は、「柿渋+黒ベンガラ」を調合して、経年変化した古色に近づけました。
塗装には、奥田さん(長者屋の施工工務店)、
Msインターン生の藤田君も参加してくださり、終始、楽しく作業を行いました。
上写真は、玄関横の板戸です。
こちらは古い建具を縦桟で補強して、新しくガラスを入れて再生しました。
建具を「転用」することも、一つの方法です。
上写真は、土間内部の様子ですが、外部の雨戸(戸袋の中で使われていない板戸)を、内部に転用しました。
上写真の格子戸も、「転用」です。
プラン変更に伴い、行き場を失った格子戸に、アクリルを入れて、
浴室の吊戸として活用しています。
赤い扉は、地元の建具屋さんからの頂きモノです。(笑)
漆塗りの古い建具で、品があり、価値の高いものですが、
現代の住まいではかえって使い勝手が悪く、持て余していたものを、
長者屋に活用させて頂きました。
枠は、「ベンガラ+柿渋」で塗装しています。
一方、寝室など、新しい建具(障子戸)についてはモダンにすっきりと新調しています。
上写真は、和室の欄間開口部です。
一見、古く見えますが、排煙対策も兼ねて、「煤(すす)竹」を用いて新しくつくりました。
古民家改修と、建具について。
現場では、思いがけない発見や学びが沢山ありました。
秋も深まった11月。長者屋の夕暮れ時の写真です。
11月10日には、
庄原市比和町・高野町において、大きなイベントが開催されます。
長者屋も中継ポイントとなっていますので、沢山の皆さまに見て頂ける機会となります。
上野耕市