マンションの一室に漆塗りの大黒柱出現?!
師走に入り一気に寒くなりましたがいかがお過ごしでしょうか。事務所の庭木も剪定され、年越しの準備万端です。
今回は先月竣工したマンションリフォームのご紹介です。
築25年のマンションに竣工当初からお住まいのSさんは、現在ご夫妻の2人住まい。計画当初、現在のマンションを売って新たにマンションを購入しリフォームを行うか、または今のマンションをリフォームするか、Msにお話しがありました。結局、7月末からの解体工事にはじまり11月までの期間で現在のお住まいをリフォームすることになったのです。(約4ヶ月の工事期間。マンションリフォームとしては長期戦です!)
内装材を全て解体してスケルトン状態からのリフォーム内容は、
(1)天井・外部に面する壁・床の断熱改修
(2)窓の断熱改修
(3)浴室・トイレの改修
上記を中心に今後の住まい方の変化に対応できるプランニングを提案していきます。
皆さんのご想像通り、元々のプランはマンションによく見られる天井高さ2,200~2,300の居室が廊下を介して両サイドに位置するプランニングでした。4つの個室とリビングダイニング、水廻りという構成でした。マンションの管理事務所に保管されている竣工図面の閲覧をさせて頂いて、計画前から構造躯体・配管等を把握することができました。図面上では微量ながらも断熱材の確認も行いましたが、実態は、、、というと解体して初めて分かることです。普段目にすることのない箇所は確認のしようがありません。
いざ、解体開始。
実はこのマンションは勾配屋根になっていて今回の物件は最上階の工事です。天井下地の軽量鉄骨と屋根スラブとの間には大きな空間があるのが分かると思います。 屋根スラブには図面記載通り、30㎜のスタイロフォームが施工されていました(さすが大手ゼネコンO!)。「下階の住人の方々以上に夏の暑さがきつい」、とSさん。屋根スラブに蓄熱された熱がこもってしまうので、マンション最上階にはよくある話です。
天井懐には既存鉄管が数本渡っていました。この鉄管はマンション所有のものなので不要だからといって処分することはできません。多少の計画変更をして、対応していくことが必要です。
では、4ヶ月の工事期間を経た状態をご覧頂きましょう。
その手前のクリの無垢板は
名栗加工(橘商店:大阪) に漆塗り(沢幸漆店:石川県小松市)を施した式台、
何とも言えない足触りです。
写真左はタモパネルを壁材として使用しています。タモの手摺が取付けられていますが、どこでもビスがきくので今後追加で設置することも可能です。
床は唐松フローリング。唐松、漆(弁柄)、タモの「強演」です。
壁面収納の杉パネル(白鳥林工) の源平のコントラストが白い壁に映えています。
リビングの奥に進むと見えてくるのがキッチン。
と、その手前に見えるのがヒノキの大黒柱です!こちらも名栗加工(網代柄)に漆塗り。
この大黒柱、吉野発(製材)→大阪経由(名栗)→小松市訪問(漆塗り)→箕面市到着(現場)という長旅を経て、今こうして堂々とスラブを支えています!さすがの存在感です。(200角の3.2Mという大物はマンションのエレベーターに入るはずもなく、大工さん数名による「手上げ」が行われたことも特筆すべきでしょうか。)
大黒柱を横目にキッチンを進んでふりかえった時の様子です。
「マンション路地」とでも言いたくなるような景色です。
今回の工事で外部に面する所には断熱改修を施したので、水廻りと1部屋を除く全ての居住スペースが連続しています。空気環境にムラをなくすことが目的です。奥の個室まで見通せます。
気になるのが正面上部の白い箱型。
これは例の天井懐に潜んでいた鉄管を囲んで、ちょっとした飾り棚にも使えるようになっています。解体後に発覚した状況にもうまく対応させる、それこそが改修における醍醐味です。
マンションの一室で木に囲まれた住まい。
ミシンがご趣味の奥さんが作られる裁縫作品とのコラボ風景も待ち遠しいところです。
さて空模様が気になるところですが、今夜は暖かくして久々の皆既月食を楽しもうと思います。
(スタッフ:平賀)