漆塗り実習に行って来ました。
岐阜県立森林文化アカデミーで行われる漆塗り実習に参加する為、
10月9・10日の一泊二日で行って来ました。
漆塗りと聞くと、食器や伝統工芸の印象が強いですが、建築にも昔から使われています。
今回講師を勤められる沢幸・沢田欣也さんのお住まいの地方も、
戦前ぐらいまでごく普通に建築に使われていたそうです。
近年では、伝統的な建築様式や風習が姿を消していく一方、自然素材への見直しで、
都市部から漆塗りの依頼が増加していると言います。
漆は水や薬品などにも強く、下地さえ整えれば木に限らず、紙や鉄、樹脂にまで塗れる
そうです。
紫外線に弱いという性質を除けば、とても便利な材料です。
今回用意したモノは、唐松のフローリングと栗の名栗加工を施した板です。
(Msによる材料提供)
その他、アカデミーの学生はそれぞれこの日のために用意した作品に塗っていきます。
漆に触れると皮膚がかぶれます。
かぶれないよう、塗る前の防備がまず大切です。
手にハンドクリームを塗り、その上にビニール手袋、軍手、腕貫と厳重に皮膚を覆って、
塗装開始。
三澤さんも集中すると、無言で塗っていました。
ここでの出来栄えが、「いつかどこかの住まいで使われる」と考えると力が抜けません。
Msスタッフも学生さんの協力を受け、150枚ものフローリングを塗りました。
プラスチックのコテで平面を塗り、ウエスで余分な漆を拭き取ることで満遍なく仕上げる
「拭き漆」は初心者でも綺麗に仕上げることができました。
塗り終えたものは、室(むろ)に入れて乾かします。
漆が乾き、塗膜を形成する為には湿度が必要不可欠で、ポットや電磁調理器などでお湯を
沸かし、部屋の中の湿度を上げて湿度を確保しています。
広い部屋や吹抜けがある現場での漆塗りは、湿度の管理が難しい場合が多いようです。
塗ったものが乾くにつれて、少しづつ色が変化していきます。
今回使ったものは漆の木から採れた原液を濾した「生漆(きうるし)」で、漆本来の色です。
よく見る赤色や黒の漆塗りのお椀等は顔料(ベンガラや酸化鉄等)を含んだものになります。
顔料を加えればいろんな色を出すことも可能です。
(写真は沢田さんの作品等)
完全に乾くまで室で保管し、一路帰路に。
完成品を、そして実際の住まいに使われた所を見るのが楽しみです。
沢田欣也さん、久津輪先生、アカデミーの皆様、この場を借りてお礼申し上げます。
スタッフ:戎野