鎌倉の家竣工
先月のお話になりますが、鎌倉の改修物件が竣工しました。
この物件は昨年住宅医ネットワークによる詳細調査を行い長期優良住宅先導事業「既存ドックシステム3」にのっとった改修計画を行いました。
↑改修後のファサードです。
宅地が2mほど上がっており建物も道路境界から控えて配置されているため横格子の水平ラインが際立ちます。
↑こちらがBEFORE。
もともと下屋があった部分は今回工事で減築しデッキスペースとしました。
下屋の下はコンクリートブロックのみで壁が造られた掘り込み駐車場で、この壁への荷重を減らすのが目的です。
(1階リビングからダイニングを望む)
(洗面所)
(ダイニングからキッチンを望む)
内部空間は1階を重点的に改装。
胡桃のフローリングに壁、天井は珪藻土薄塗り仕上げとしました。
2階はコストを抑えるため間取りをいじらず断熱材を入れるため剥がした壁と天井のみ珪藻土クロスで仕上げています。(床は既存のまま)
限られた予算の中で優先順位を決めて改修していく。
住まい手のHさんは築40年のこの家を中古で購入し、詳細調査を行い改修して住むことを選ばれました。
ご自身がこだわるところを明確にし、今回手を加えるところ、今後予算ができたら手を加えるところ、計画的に家づくりを楽しんでいらっしゃったように思います。
こういったスタンスはHさんがアメリカで暮らされていた時の経験が大きく影響しているそうです。
欧米では古い建物ほど価値がある(よい材料を使っている)とされ、住人が手を加えながらメンテナンスを行い住まいを成熟させるのがあたりまえ。
中古住宅の流通においても古い良質な家はきちんと評価され適正な価格で売買されているそうです。
日本だと築年数が古ければ上物の価値はゼロですから、まったく逆ですね。。
またアメリカでは建物を売るのに仲介する不動産屋さんと買う際に仲介に入る不動産屋さんは別だそうです。
日本だと売るのも買うのも同じ不動産屋さん。
あまり疑問に思っていなかったのですが、改めて考えると不思議な構図です。。
10月末に行った完成見学会の際も、中古住宅の購入について参加者の方からお話が出ましたよ。
更地で30坪の土地に新築住宅を建てるのと敷地面積40坪の中古住宅を購入し改修する。
同じ予算ならどちらがいいか?
その方は中古住宅の改修の方が広さも仕上りも自分の理想に近い家が手に入るように思うがその中古住宅が改修して住める状態なのか、購入してフタを開けてみないと分からないので決心がつかないとお話されていました。
確かにそうですね。
Hさんも詳細調査をしてこの家が住める家ではなかった場合の案も考えていたとのこと。
中古住宅を購入することがバクチになるのではなく、もっと安心して購入できれば・・・。
今、国をあげてストック型の住宅市場へ転換を促していますが、流通の面でも今後解決していく課題がたくさんあるように思います。
(スタッフ:西久保)