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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2013.05.25

福島県会津へ行ってきました!Vol.2

MOKスクールツアー2日目の様子を紹介します。2日目も晴天でした。

 

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おいしい料理とお酒をいただいた「ふじや」さんにお別れを告げて出発。

 

向かったのは前沢曲家集落という重要伝統的建造物群保存地区です。

明治40年の大火後に同一大工集団によって一斉に建築されたそうです。形状のそろった住宅群が統一的景観を生んでいます。

 

当時の生活風景をそのままに残す曲家資料館。

急勾配の茅葺屋根は60㎝あり、冬は雪に耐え、夏は室内に涼しさをもたらします。

それにしても最高の気候で、きれいな空気の中、気持ちよく散策できました。

 

 

 

前沢曲家集落の見学の後は再び「きこりの店オグラ」に行きました。参加者の皆さんはお土産にと魅力的な広葉樹グッズを購入されていました。

Ms三澤のお土産は今後の設計物件に使用する原木です。この時に買った材が姿を変えて、いずれ竣工写真とともに登場することでしょう。

 

福島県南会津を後にし、車で那須塩原駅へ戻り、そこから東北新幹線で大宮まで南下し、大宮から上越新幹線にて再び北上して本庄早稲田へ。

次の見学地は埼玉県本庄市にあります小林建設さんの本社展示場「コバケンラボ」です。三澤文子が設計し、今年の2月にオープンしたばかりです。

JR八高線・児玉駅の駅前通りが前面道路です。道路からは大きな屋根とバルコニー部の格子壁が印象的。

 

 

 

 

 

小林建設代表の小林社長に建物の説明をいただきました。

「パッシブデザイン」をテーマに非常に高い性能と自然エネルギー利用を取り入れた建築となっており、長期優良住宅認定、建設性能評価(耐震等級3・省エネ等級4)なども取得しています。

南に見える屋根に乗っているのはOMソーラーの集熱パネルと太陽光発電パネルです。太陽エネルギー集熱を考慮し、南側に大屋根をかける建物形状となっています。ただ、集熱効率のみを求めたわけではなく、全体のデザインとのバランスをとった形状です。プランニングも温熱・省エネと生活のしやすさを両立させたものとなっています。

断熱性能はQ値1.66W/㎡K(改正省エネではUA値0.52W/㎡K)と基準を大きく上回る断熱性能となっています。

 

植栽も豊かに配置しています。中央にはビオトープ(池)をつくり、潤いのある環境を生み出しています。

 

アプローチ。玄関横の壁は濃く塗った杉板に白木の押縁を打ったものです。玄関のすぐ横が薪置場になっています。

 

玄関の内部。室内の壁・天井は珪藻土仕上げ。一部外壁と同じく杉板+押縁で仕上げています。床は外部から続く鉄平石仕上げです。

 

玄関から続く鉄平石の土間。敷台は栗板をナグリ加工し、漆を塗ったものです。

ここの鉄平石の床は冬場に日射熱を蓄える蓄熱体として計画しています。上部にトップライトを設けてダイレクトに日射熱を取り入れます。ただ、これでは夏場は大丈夫なのでしょうか?

 

 

大丈夫です。トップライトには開閉式の内戸を設けています。

この内戸はボード状の断熱材に紙を貼ってシンプルに制作したものですが、当然断熱効果抜群です。

 

土間の開口部には木製ガラス引込戸を納めています。さらに木製のルーバー格子網戸も設置し、夏場の日射コントロールを可能としています。

 

さらにルーバー格子網戸は無双戸となっていまして、光の調整が可能です。閉めた状態でも隙間から風が入る作りになっています。

 

 

リビングは南からの自然光が入って、とても明るい空間となっています。床は岩手の赤松。上部は吹抜けとなっていて、小屋のかたちをそのまま現しています。奥にある大黒柱は栗で5mあります。4mを超える栗材はなかなか入手できないものですが、これは今回のツアーで行きましたオグラさんに用意いただいたもの。すばらしい逸品です。

 

ダイニングテーブル上には漆塗のペンダント照明器具があります。独特な形状は上越新幹線E4系「Maxたにがわ」をモチーフとしたものです。

鉄道好きな来場者にも喜んでいただければ幸いです。

 

 

薪ストーブは北にあります。これも建物全体の温熱環境を配慮して位置を決めています。周りには蓄熱効果を期待し、大谷石仕上げとしています。

 

階段を上って2階へ。階段板はさまざまな広葉樹の板を使用しています。

 

2階のライブラリースペース。床は無節の桧です。棟木を支える柱は漆を塗ったもの。奥に見えるのが道路側のバルコニーです。

 

最後に小林社長を囲んで対談。コバケンラボについて、小林建設の家づくりについて、営業手法についてなど、さまざまな為になるお話しを聞くことができました。小林社長、ありがとうございます。

この後は我々は「Maxたにがわ」→「のぞみ」と乗り継ぎ、大阪まで帰りました。

今年春のMOKスクールツアー、かなりの移動距離でしたが、西日本の人間にとっては、なかなか来ることができないエリアでしたので、貴重な体験となりました。

次回、秋のMOKスクールツアーは岐阜白鳥の森林ツアーです。

興味のある方、参加お待ちしております。

 

スタッフ 田尻