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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2022.11.05

こども園宍粟わかば~遊戯室の仮組みと建て方のご紹介~

秋も深まり、関西では紅葉も見られる季節となりました。

『早いもので、今年も残すところあと2か月です』というフレーズがよく聞かれる今日この頃です。

さて、本日は兵庫県宍粟(しそう)市で進めている、こども園の現場をレポートします。

今回のテーマは、「遊戯室」です。

927日に“しそうの森の木”のプレカット工場にて、遊戯室の仮組みを行いました。間口10.92Mのスパンを飛ばすため、「樹状トラス」という架構を採用しています。

構造は、中大規模木造を得意とする“ホルツストラ”さんです!Msでは、2010年に竣工した北沢建築のプロジェクトでもご一緒しています。

9月の台風で日程がずれ込んでしまったため、あいにく稲山先生は不参加となりましたが、ベテラン構造設計者の岩田さんにお越しいただきました。

写真左手:チェックのシャツを着ているのが岩田さんです。

材の段取りと加工は、地元の“しそうの森の木”さんが担当します。

写真右手から梶浦さん。

150巾のJAS材を宍粟杉で用意すべく、1年近く前から山で原木から調達してくださいました。

左手は藤井棟梁です。

御年70の熟練大工さんで、遊戯室の墨付け・手刻みを行っていただきました。

お二人とも、『この遊戯室ができるまでは、ゆっくり眠れない(笑)』と口を揃えるほど・・難易度が高い仕事です。

「樹状トラス」は、幹から枝を出すように、斜めに材が取り付きます。

今回はこども園という用途から、「燃えしろ設計の準耐火建築物」として設計しているため、150mm巾の太い材を斜めに組み上げていきます。

斜めに取り付く「接合部」が一つのポイントとなります。

斜材(第1の枝)と柱の接合部の様子です。ホゾが2段に付いていることが分かります。

『なぜ、ホゾが2段も必要なのか?』(藤井棟梁)

『燃えしろ設計のため、万が一の火災の際に、ホゾが2段になっていることで抜け落ちにくい設計としています』(岩田さん)

現場で大工さんと直接やり取りをするなかで、たくさんの学びがあります。

また、藤井棟梁は『詳細な寸法はCADで出します!』とのことで、伝統的な大工技術に加えて、新しいことへチャレンジする姿にとても感銘を受けました。

さて、無事に加工を終えた「樹状トラス」は、分解して現場に運び込まれます。

一度、仮組みをしているため、現場ではスムーズに組み上げることができます。

ボルトや金物なども取り付けていきます。

組み上がった「樹状トラス」は、クレーンで吊り込みます!

足場の一部が取り払ってあり、横からスライドする形で建て込んでいきます。

1つの「樹状トラス」を吊り込むのに約10分で作業完了です。

この樹状トラスが4セット入ります。

その後、胴差や登り梁でつないでいきます。

150mm巾の材を用いているため、ガチっと力強く組まれた印象です。

子どもたちが活発に遊ぶ場所として、力強く、そしてどこか優しく包みこまれるような空間となります。

そして、1010日(大安)。

若葉保育園の皆さまのご厚意により、上棟式の後にこども達を招いて「餅まき」を行いました。近隣の自治会の皆さまや、保育士の先生もたくさん参加して下さいました。

子どもたちの楽しそうな姿からパワーを頂き、これまで安全に工事を進めて頂いたヤマヒロの皆さまに感謝しながら、後半戦の工事を進めていきます。

 上野耕市