皐月のある日曜日、昨年から打合せを重ねて基本設計を行ってきたT邸のプレゼンテーションを行いました。実施設計に入る前に、プラン、温熱性能、工事費の概算などを丁寧にご説明する機会です。
場所は、文子さんが設計し2013年に竣工したコバケンラボ。私にとっては、初めての訪問となりました。アプローチ脇の紅葉が薄紅のハート型の種をつけていました。四季を感じられる植栽は心を豊かにしてくれます。
早めに到着して、準備開始前に少しだけ見学タイム…床の間脇の窓外に目をやると、石の水盤に小鳥(オブジェ)が2羽。まるで、野鳥が舞い降りてきたような演出。私は、文子さんの鳥のオブジェを用いた室礼(舗設)が大好きです。
リビングからは土間を介してつながる庭や空を流れる雲が見え、「花鳥風月」が感じられるここちよい空間です。
今回は初の試み「ハイブリッドプレゼンテーション」。何がハイブリッドかというと、「対面形式とオンライン形式」「模型と3Dモデル」です。通常は図面以外に「模型」にてプランをご説明しますが、更に3Dモデルも作成し、オンライン解説も行いました。
模型は、屋根や2階プランが段階的に外せるようになっており、1階プランも俯瞰でみることができます。プレゼン後はお持ち帰りいただき、ご家族でじっくりご覧いただけます。
一方、3Dモデルでは、内観パースにより各室の関係性や化粧垂木の見え方など、空間イメージをわかりやすく伝えることができます。
BIM対応の3次元CADで作成しているため、実施図面に連動できるのが最大のメリットです。
3Dモデルの解説は、模型と3Dモデルの両方を製作した逢坂君が、大阪事務所からオンラインにて担当。Ms入社1年目ですが、学生時代からMsの模型マスターの称号を得ていた、頼もしいスタッフです。
一方で、直接お会いすることの重要性も感じます。打合せ項目だけではない、雑談から得られる情報や信頼感、安心感も大切です。また、コバケンラボのリビングに立つ八角柱と同様の柱がT邸の設計にも計画されており、実際にご覧になることでより具体的なイメージをつかんでいただけたのもよかった点です。
ハイブリッドプレゼンテーションを経て、実施設計がいよいよスタートです。
「時をつなぐ」…10年の時を経ても尚、コバケンラボでつながるご縁…これまでも、これからも。
(松岡利香)