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Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2023.09.16

丸亀の住宅・詳細調査を行いました!

非常勤&リモートワークの村上です。昼間はまだまだ暑いですが、朝晩が涼しくなり、過ごしやすくなりましたね。今週のMs日記は、8月の暑い盛りに行った、丸亀市にある築95年の住宅の詳細調査について書きたいと思います。

文子さんが代表理事をつとめる、一般社団法人 住宅医協会では、

既存住宅の調査・診断、改修の設計、工事の監理、完成後の維持管理計画の作成

をきちんと行うことができる技術者を育成するための、住宅医スクールを開催しています。そして、住宅医スクールを終了した受講生は、自身が行った改修工事をもって「住宅医検定会」に参加し、合格すると認定「住宅医」になることができます。

住宅の詳細調査は、現状の問題点を把握するために欠かせない大切な作業です。住宅医が行う詳細調査は「性能向上調査」と呼ばれ、①耐久性(劣化対策)、②耐震性、③温熱性、④省エネルギー性、⑤バリアフリー性、⑥火災時の安全性、の6つの性能が診断できるように調査内容がつくられています。

丸亀の住宅の調査依頼者である鈴木さんは、住宅医スクールの受講生です。この住宅にはおばあさまが住んでいて、小学生の頃にはよく遊びに訪れたそうです。おばあさまが亡くなられてからは空き家になっている思い出がたくさん詰まった家を、自分で治して暮らしたいという思いから、今回の詳細調査を実施することになりました。

当日は9名で、採寸、劣化、小屋裏、床下、矩計(かなばかり)の5つのチームに分かれ調査しました。Msの温熱設計を担当している丸亀在住の中野さん、高松からは詳細調査に初参加の長尾さんと能見さんがご協力くださいました。住宅医は、文子さんをはじめとして、中野さん、上野さん、私の4名です。

チーム1 採寸(上野さん、村上) 建物内外の寸法の記録と写真撮影を行い、現状の図面を作成します。

チーム2 劣化(中野さん、能見さん) 建物内外の設備を含む劣化の調査と、耐震と温熱の性能を計算するための現況を記録します。

チーム3 小屋裏(逢坂さん、長尾さん) 小屋裏と1階天井伏図の作成と、劣化の調査、耐震・温熱性能を計算するための現況を記録します。

チーム4 床下(中尾さん、鈴木さん) 床下の伏図作成と、劣化の調査、耐震・温熱性能を計算するための現況を記録します。

チーム5 矩計(文子さん) 矩計図と立面図を作成します。

午前の作業は9時から12時、昼食後に全員が集まり、進捗状況を報告。この時点で時間が足りないと判断したチームは他のチームに応援を頼んで、調査終了予定時間を過ぎないように調整します。この日も予定通りに無事調査を終えました。

夏場の床下や小屋裏での作業は大変厳しいものですが

「古民家の床下調査はだいたい泥まみれになります。ですが、ほふく前進で軸組を野帳にプロットしていくのが冒険の様で、楽しいです。古材が活かされ、住み良い住まいに生まれ変わる改修設計は、泥にまみれた分、その感動も大きいです。」(中尾さん)

「小屋裏は普段見ることができない住宅の骨格を一番見ることができる調査箇所。今回は屋根に断熱材が入っていなかったため、小屋裏が太陽光により屋根が熱せられ、とても暑い空間となっており、屋根断熱をする重要性を実感することができました。」(逢坂さん)

と感想を報告してくれました。

自ら志願して床下調査チームに入った依頼主の鈴木さんには、見学に来られたご友人が心配して「おーい鈴木、大丈夫か!?」と何度も床下へ声をかけられていました。汗と泥でドロドロになりながらも改修の第一歩を踏み出した喜びからか、終始にこやかだった鈴木さんは、920日に開かれる調査報告会プレビューに向けて、調査内容をまとめているところです。今後の進展もお知らせしていこうと思いますので、どうぞお楽しみに!

村上洋子