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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2025.01.11

丸亀の家・造作工事について

エムズ日記をお読みの皆さま、新年あけましておめでとうございます。一昨日からこの冬一番の寒波が到来し、大阪も小雪が舞い底冷えをしておりますが皆さまがお住まいの地域はいかがでしょうか。今回のエムズ日記は非常勤スタッフの鈴木が担当いたします。

私は祖母から受け継いだ香川県丸亀市にある古民家の改修工事の状況について、お伝えをしております。今回は、内部、外部の造作工事についてお話します。

前回のエムズ日記はこちらからご覧いただけます。

まず内部の造作工事についてです。11月の初旬から1階床下の設備配管工事が行われました。青色は給水管、オレンジ色は給湯管、グレー色の真っ直ぐな太い管は、使用後の水の排水管です。

この後、1階の床仕上げ材の杉板を張る工事となります。杉板は厚さ3.5cm21cm長さ4mの本実板です。徳島県のTSウッドハウス協同組合の和田さんが供給してくださった材料です。この床材を半間間隔で配置した大引きに対して直交方向に張っていきます。

2階も床下地の構造用合板(厚さ2.4cm)の上に転ばし根太(4.5cm角)を設置し、その上に仕上げ材の桧板(厚さ1.5cm)を張っていきます。

屋外では付加断熱材のフェノバボードを張った上に、通気層を設けるための縦胴縁をつけ、その上に塗り壁の下地となる杉バラ板を横方向に張ります。

11月29日の現場監理に合わせて、水の葉設計社の中野さん、篠池さん、佐伯さんに来ていただき、気密測定を行いました。この工程で実施したのは、外壁、屋根の屋外側の断熱工事が完了し、外気流入が抑えられたこと、内部造作工事前のため、流入箇所の補修が容易なためです。測定結果は相当隙間面積C値2.35㎠/㎡でした。外気の流入が考えられる箇所は、隣住戸に連続している床梁や母屋の貫通箇所などでした。気流が感じられた箇所をシーリングや発泡ウレタンで補修を行い、1.8㎠/㎡まで改善しました。

 外壁の仕上げ材は、1階の杉板張りと、関元工務店さんから提案を受けた、塗り壁のそとん壁にしました。そとん壁は、南九州火山帯の火砕流が堆積したマグマ由来の火山噴出物のシラスが主原料で、雨水が壁内へ入るのを防止する防水性能と壁内の湿気を放出する透湿機能があること、不燃材料であること、工場での製造時に大きなエネルギーを消費しない省エネ・ローテク製造であることなどに関心を持ちました。また関元工務店さんの施工物件の外壁も見せてもらい、白い色の美しさと素朴な仕上がりの表情が気に入りました。

実際の工事の手順について説明します。塗り壁の下地として、杉バラ板(厚さ12mm)を横方向に張り、その表面に透湿防水シートを張ります。更にその上をラス網で覆います。

そして、ラス網に馴染ませてシラス粒子の細かい下塗材を鏝で塗ります。

シラス粒子が大きい上塗りを金鏝で塗ります。その後、かき落とし器で表面の表情を作り仕上げます。そとん壁の施工は、高松にある筒井左官工業所の馬淵さんとスタッフの方々が進めてくださいました。自然素材の耐久性のある優れた材料です。しかし塗り直しがきかない難易度の高い左官工事が必要となります。

かき落としが完了した外壁面はこのようなやわらかい表情になりました。外壁の角の部分や、外部建具など外装材との取合い箇所もきれいに仕上がりました。

 12月20日から21日に足場から行う外装材の最終確認と美装を行い、翌23日(月)に足場の解体を行いました。6月10日に既存の外装材を解体するために足場を設置してから延べ195日間、養生ネットで覆われていた建物の外観が、街にむかって現されました。建物の外観は、道路面の1階下屋部分が無くなり、北面の1階キッチン、浴室の附属部分も無くなり、総2階建てとなりましたので、このようにすっきりと見えるようになりました。

次回のエムズ日記では、内部の造作工事について、ご報告する予定です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

鈴木康之