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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2026.08.29

名塩の家~築24年のメンテナンス工事~

エムズ日記をご覧のみなさま、こんにちは。
事務所の中庭にメダカが仲間入りしました!
実は過去にもメダカがいたのですが、どうやら鳥たちについばまれてしまったようで、今は、すだれで水がめを覆って見守っています。

さて今週のMs日記は、髙田が担当いたします。
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月から行っていました西宮市の「名塩の家」のメンテナンス工事について書きたいと思います。

名塩の家は2002年に竣工した築24年、2階建て、延べ床面積31坪の住宅で、文子さん設計ではかなり珍しい「片流れ屋根」になっています。
実はMsのウェブサイトの作品事例やMs日記にも掲載したことがなく、今回が初紹介となります。

メンテナンス工事をすることになったのは、4月のある日、1本の電話がきっかけでした。
「ひどい大雨や台風のときに何度か雨漏りをしたことがあるので、どうにか改善していただけないか。」
これまではお忙しくて工事をお願いするまでに至らず、雨漏りするたびに住まい手さんご自身で応急処置をされていたそうです。
お仕事をリタイアされて少し時間ができ、さらに今年の4月大雨が降った時にまた雨漏りがあったことがきっかけで、Msへお電話くださいました。
後に、「そのときお話を聞いてくださっただけでも不安が和らぎました」とおっしゃっていただき、うれしくも、これまで苦労されていたのだと痛感しました。

名塩の家の施工者はすでに廃業されていたため、現地調査はMsがいつもお世話になっているHARE建築工房の出口さんと、今回初めて出口さんに紹介いただいた防水のスペシャリスト(下写真の方です)に同行いただきました。
写真は、雨漏り検査のため軒天と外壁の取り合い部分に水をかけているところです。

雨漏りは、1階と2階それぞれにありました。上写真は、2階室内の壁・天井です。
桁と天井の取り合い部分に見える白いものは、雨漏りした際に住まい手さんが応急処置として設置したティッシュです。ご苦労されていたことがひしひしと伝わってきます。

雨漏り検査の結果、2階雨漏りの原因は「軒天と外壁の取り合い部分」でした。
片流れの屋根のため軒天に雨が吹き込みやすく、さらに軒天の板が「本実板」であったため、「実」を伝って室内へ浸水していました。

「軒天と外壁の取り合い部分にコーキングを打つこと」「軒天に板を張り増しすること(写真中央の桁から右側のみ)」「軒天板の木口部分を板金で巻くこと(屋根の右側先端)」によって改善しました。
写真は改善後の写真です。杉板をブラウンで塗装したため、桁の左側に見える既存軒天と、右側に見える張り増しした軒天と、色味がそろっていてきれいです。

1階の雨漏りは、2階とは違い、「母屋と外壁の取り合い部分」だとわかりました。
そこから壁内を通って、1階天井へ浸水していました。
そのため「母屋と外壁の取り合い部分にコーキングを打つこと」で改善しました。

さらに、雨漏りメンテナンス工事に併せて様々なメンテナンスを行いました。

鼻隠し板の取り換えは、出口さん(上写真右側)が行ってくれました。
大きな片流れ屋根のため大きな樋がついており、その外側に鼻隠し板が取り付けられていました。
雨ざらしかつ樋へ雨水が流れるときの跳ね返りも受けて腐朽しており、新材に取り替えました。

こちらは、水廻りから外部へつながるサービスデッキです。
もともと杉板(w=200t=30)でつくられていたため、シロアリ被害がひどかったので、全面張り替えました。

貼り替え後は、「セランガンバツ」という東南アジア系のバツ材で、シロアリに強い材を用いています。
また、ビスをよく見てみると、十字ではなく四角形で平たくなっています。これは素足で歩いても足が痛くないようにと、大工さんが工夫してくださったのです。

サービスデッキに加えて、外部の広範囲でシロアリ被害が見られたため、専門家の水谷さんに来てもらいました。
岐阜市K邸のメンテナンス工事でもお世話になった方です。→岐阜市K邸メンテナンス

サービスデッキを解体すると、たくさんの生きたシロアリが出てきました。それを見て住まい手さんは少しのけぞっていました。
さらにシロアリの卵があり、水谷さん曰く卵が見られるのはかなり珍しいとのこと。
写真右側は、うれしそうに卵の写真を撮っている水谷さんです。
水谷さんは、シロアリ駆除だけでなく、普段シロアリの研究をされている専門家なので、今後の研究のためにと、とてもうれしそうにシロアリの入った木材を持って帰っていきました。

リビングからつながっている南側の大きなデッキは、軒が深く屋根がかかっているため、きれいでした。同じ杉板でつくられていますが、雨ざらしかどうかでここまで違うものだとびっくりしました。
こちらは端部3枚のみ雨が吹き込みやすく普及していたので、新材に替えました。

リビング~デッキのところにガラス吊り戸があります。
これが幅1,820mm、高さ2,150mmと、かなり大きなガラス戸のため非常に重たく、足元のコマがつぶれてしまっていました。そこで建具屋・平尾さんに来ていただき、修繕いただきました。

近年の物件とは違ってメンテナンス性があまり考えられておらず、建具を取り外すことが困難でした。そのため、建具を可能な限り傾け、デッキの板を取り外して、下から手を入れて作業するという、かなり大変な工事となりました。
写真は、平尾さんが手の感覚でビスを打っているところです。
結果、ひどいときには体重をかけないと動かなかった建具が、片手で動くようになりました。

こちらはZOO永田さんのクリチェアです。
名塩の家には4脚あり、そのうちの1脚にヒビが入っていたので修理しました。
永田さんへ連絡したときは、初期のクリチェアだ!と少し興奮気味に話されていました。
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年以上前のものでも、修理をして使い続けることができる、木の家具の良さを感じさせてくれました。

外壁とデッキの建具については、再塗装を行いました。
当時は墨汁を使って塗装していたようです。墨汁は対候性が強く色褪せにくいため、外部塗料としては適しています。ただ、20年経った今でも表面をさわると手が黒くなってしまいます。これには住まい手さんも少し困っている様子でした。
そこでメンテナンス工事では、Msでよく使っている大阪塗料のニューボンデン・ブラウンを使用しました。
「ブラウン」という名称ですが、塗った印象は黒に近く、きれいに仕上がりました。

ここにはすべてを書ききれませんでしたが、たくさんのメンテナンス工事を行い、
住まい手さんに大変よろこんでいただけて、非常にやりがいを感じました。

Msは竣工後のメンテナンスにも力を入れていて、定期的な点検に加え、住まい手さんからの問い合わせにも対応しています。
そして、Msとともに、大工さんをはじめ、建具・家具・シロアリなど、たくさんのプロフェッショナルの方々に協力いただき、メンテナンス工事を行います。

こうしたつながりの中で仕事ができることに改めて感謝の気持ちを抱きました。
今回、ご協力いただいたたくさんの方々、ありがとうございました。

髙田颯斗