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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2022.12.24

引き継がれた木の家 – N邸

非常勤&リモートワークの村上です。今回は11月にうかがった、1997年に竣工した住宅について書こうと思います。

住まい手のNさんから、事務所のウェブサイトのお問い合わせフォームにご相談がありました。2014年に購入した、三澤康彦さん設計の住宅の、長期的なメンテナンス計画と気密・断熱性能の向上について相談したいという内容でした。

文子さんはとても喜び、この住宅は康彦さんのお気に入りで、よく講習会の資料に登場させていたし雑誌にも紹介した、と懐かしそうに話してくれました。私も、Msの住宅を中古で購入したという珍しいケースに興味津々で、うきうきと京都に向かいました。

全面道路から少し奥まった土地に建つN邸は、前庭の真ん中に、建物と同じくらいの高さの木が生えていて、その隣にはテントのような小屋があります。これはおもしろいお話が聞けそうだ!とますます興味をそそられました。

土間からみた庭。小屋とガラスに描かれた絵を見ると、お子さんたちがのびのびと育っていることがわかります。

お話は明るい2階のリビングでうかがいました。まずはこの家に出会ったきっかけです。

・住まい探しをしていて、なかなか良い物件に巡り合えず、探す範囲を広げてみたらこの家に出会い心が動いた。

・見つけたのはネットの不動産情報サイト

・見学してますます好きになり購入することになった。

・この家に出会うまでMsのことは知らなかった。

・ところが、トヨさんの椅子が欲しくて、実物を体験できる場所を調べたらMsだった。他にも興味のあることを調べるとMsに行きつくことがよくある。

また、N邸の前のオーナーであった、Yさんについても教えていただきました。山が好きで、好みをわかってくれそうな建築家を探し、康彦さんにたどり着いたそうです。せっかく建てた家でしたが、仕事場が遠く、加齢にともなって毎日の通勤が大変になり手放すことになりました。新しい住まい手のNさんご夫妻は、若くて手先が器用。大体のメンテナンスはご自分でできてしまいます。山好きのYさんがいまの家の様子を知ると、きっと喜ばれると思います。

「浴室の木部にカビが生えて気になる」とうかがい、点検に入ってみると、

少し黒ずみはありますが、よくお手入れされていてカビは全く気になりません!山小屋のようなとても素敵な浴室です。

帰りに、庭の木の樹種をうかがい、金木犀だと知りました。毎年庭がオレンジの絨毯になるそうで、情景を思い浮かべると香りまで漂ってきます。よく目にする金木犀は低く丸く剪定されていますが、こちらはNさん自ら梯子にのぼって枝を切るだけあって、のびのびと機嫌よく枝をのばしています。元々この土地に数本生えていた樹木のうちの1本だけを残して家を建てたそうで、山好きのYさんと木が好きな康彦さんらしい計らいだなぁと思いながら帰路につきました。

N邸を訪問したあとに、この住宅が掲載された雑誌を見つけました。2005年発売の 心地いい「木の家」傑作選 (別冊家庭画報)です。徳島の杉をふんだんに使ったN邸は、25年を経て円熟味を増し、庭の金木犀も成長しているのがわかります。

これからもずっと住み続けていきたいとおっしゃるNさん。よくぞこの家を見つけてくださいました!私も、Nさんご家族に快適に暮らしていただけるよう、メンテナンスのお手伝いしますので、また気軽にお声掛けください!

みなさんも運が良ければネットの不動産サイトでMsが設計した住宅に出会えるかもしれません。その時は迷わずご購入ください。アフターケアは万全です!

村上洋子