新年の木配り(きくばり)
2017年はじまりました。
昨年は熊本地震、倉吉を震源とした鳥取地震、糸魚川市の火災と自然災害が起こり、平時の身の振り方を再認識させられる年でした。住宅設計に携わる職能として、各地で安全に快適に過ごせる住まいを創る責任を改めて感じ取りました。
阪神大震災を実際この目で体験した私ですが、何の前ぶれもなく訪れる災害に対して自分自身で対応できる日常を持つことが大事であると思っています。万全でなくても「常におもうこと」が大切です。
1月14日。Msがいつも使用する木材は直接設計側で調達するため、木配り(きくばり)を松阪市:(株)コウヨウのプレカット工場にて行いました。文字通り、木を配る(くばる)のです。
集成材、スチール、コンクリートなどは木材と同じ建築材料ですが、個々の部材の品質が違うということはありません。工業製品ですから。それに比べて木材は1本1本それぞれが異なった顔をしています。
9時半にコウヨウのCAD担当者と打合せを開始し、11時半で一応終了です。
木を配る前に、近くで見て、遠目で見て木材全量の姿をどう配ってゆくか作戦を練っている所です。
その後、約30分ほどで木材を並べてゆきます。当然、Ms・MSDスタッフで並べるのです!!
「ちょっと並べてくれ」など絶対に出来ません。自分達で調達したものは自身でやるのです。
木材は重いのです。この木材は「フジイチ(天竜杉)」の材料で天然乾燥したものを事前に含水率まで私達が計測しています。
長さ5M・120×300mmの梁:1本で約100kgあります。今回はMSD(福島事務所)の仕事ですが、女性ではこの重さはなかなか辛いです。よって、千里事務所の男性スタッフが助っ人しています。
12時から腹ごしらえです。いつも、「一升瓶」という焼肉店で松阪肉・ホルモンをたらふく食べてエネルギーを蓄えます。そして、午後からまた作業開始です。
机上で含水率何パーセント・木材の長さを数値で入れてみても、しょせん数字です。実際を想像する人はまだましですが、無機的な記号によるものです。それを実際に現場で大工(職人)が取り付ける。設計者は自身では取り付けられない「もどかしさ」を大切にしなければなりません。
寒中の中、図面とモノ(木材)との「こんくらべ」です。決して諦めない。とことん吟味する。
しかし、時間は有限です。このせめぎ合いの中、当然だんだん早くやらなければギブアップです。
木配り(きくばり)が初めての新入社員への指導にも熱が入ります。
そして終了。この笑顔です。
Ms・MSD、常に自分たちで汗をかき、筋肉痛になりながら住まいを創る。これが絶対に必要なのです。
三澤康彦