改修の仕事では、ビフォアー・アフターの変化を、住まい手に驚いていただくことがとても嬉しいものです。まずは、内部空間に入る第一印象を決める玄関。
古民家の床は高く、敷台までの高さ、又敷台から床までの高さも高いものです。この改修では床高をそのままに、土間の高さを少し上げ、かつ1階床まで3段で上げています。蹴上は150に抑えているので3段でも上りやすく、さらに敷台の幅を広く取ることで、かなり優しい感じになります。敷台も1段目は樹種の色、左手の2段目の敷台は、漆を塗って変化させることで玄関の色構成も締まってきます。
この玄関も改修の仕事です。
写真右手が(見えませんが)既存の玄関ドア、正面の片引き障子はアクリル板でできた断熱のための障子です。既存の低性能シングルガラスのアルミサッシの手前にこんなレトロデザインの建具を取りつけることで雰囲気が大変化します。写真手前には、玄関を仕切るための引き戸のハンドルが見えます。このように玄関は引き戸で区切り室内の温熱環境をキープするのが肝要、そんなことで玄関は玄関室と名付けています。
これも改修の仕事ですが、玄関の位置までが変わりました。
広めにとった玄関土間にはグランドピアノが。改修を機に住まいをコンパクトにするため、このピアノの処分も考えていた住まい手ご家族でしたが、玄関入ってピアノが出迎えてくれる玄関室に、とても喜んでくださいました。この家を訪れるお客様も、その第一印象に、大好感を持ってくれること間違いありません。
これはマンションの玄関室。マンションリフォームです。
マンションの玄関鉄扉を開いて撮ったこの写真。鉄扉の内側に障子があるのです。玄関室の土間はマンションの間口いっぱいの幅があり、両サイドにはクロークができています。マンションお決まりパターンである「玄関入って廊下の向こうにリビング」という予想に反して木の空間の玄関室に出会うのです。
玄関室奥の格子建具を開けると図書室としての廊下が続きます。
ベンチのある玄関室。そして建具を開けると図書室になる・・・ふと気になった本を取り出して、ベンチに腰掛けてページをめくる・・・・玄関鉄扉の内側の障子を締めれば、マンションの玄関らしからぬ素敵なひとへやになること請け合いです。
三澤文子
<写真全て 撮影/畑拓>