桜の花便りが届き、いきものたちが活動し始める春は、前向きな気持ちになります。
今週は、まだ寒さの残る節分の頃に訪問させていただいた、「谷中岳花」のお話をさせていただきます。
「谷中岳花」は故・三澤康彦さんが最後に設計した住宅で、監理を三澤文子さんが引き継いで2019年1月に竣工しました。都心のとある駅の近く、密集地でありながらも下町の風情が残る街に佇むお住まいは、3階建ての2世帯住宅が、敷地を最大限に活かして建てられています。
コロナ禍を経てようやく再会できたよろこびを分かち合い、近況報告からはじまりました。Iさんに住み心地をお尋ねすると「冬場でも夜にエアコンを消して翌朝17℃を下回らず温かく過ごしやすい」とおっしゃっていただき、設計時に想定した通りの快適性が実現できていることが確認でき、責任を果たせた思いです。
「太陽光パネルを設置予定で、荷重が増えることによりを耐震性に問題がないか確認して欲しい」というご相談を受けました。後日、機器の総重量を算出し、新築時に構造計算を担当していただいたTEDOKさんに再計算していただきました。結果は、耐震等級3を楽々クリア。結果をお伝えすると、Iさんも安心し喜んでおられました。新築時に余裕も持たせた構造計画が功を奏しました。
Iさんは、電気自動車も同時購入されるとのこと。電気自動車+再生可能エネルギーという、環境負荷軽減のために理に適った方法の実践です。現在、太陽光パネルの設置には、国や東京都の補助金が充実しているので、それらを上手に利用するのも賢い選択です。
打合せを行ったリビングのテーブル。モノをあまり置かず、すっきりと住まわれていて、とても居心地のよいリビングです。窓からの景色は、お隣の庭を借景にしており樹木が茂り季節の花も楽しめます。また、1階のお母様のリビングは敷地内の庭に面しており、お母様の手入れが行き届いた品格のあるお庭は椿が見頃でした。都心でも、植栽を上手に取り入れることが、四季を楽しみ暮らしをより豊かにするコツですね。
温かく落ち着くリビングでいただいたお茶菓子は、黒糖の風味が豊かなどら焼き。コクのある甘さとふわふわとした生地にほっこり。
もうすぐ5年目、メンテナンスで再び訪問させていただくのが楽しみです。
(松岡利香)