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Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

皆さん、こんにちは!今回のエムズ日記は非常勤スタッフの鈴木が担当します。

9月18日~19日に開催された、住宅医協会企画のぎふ美濃ツアーに参加して、岐阜県立森林文化アカデミー(以下、森林文化アカデミーと略称)を見学したことについて、お話ししたいと思います。

2年前に受講した住宅医スクールの第1講義で、『木造建築病理学に基づく住宅医の仕事』を学んだ際に、木造建築病理学は森林文化アカデミーから始まったことを知り、是非現地を自分の眼で見てみたいという想いから、今回のツアーに参加しました。

私が木造建築病理学に強く惹かれたのは、古い木造住宅を調査診断して、劣化、耐震、、火災時の安全性、温熱、省エネ、バリアフリーの性能を確認し、適切な改修をする技術を修得する学問だったからです。森林文化アカデミーでは2006年にこの講義が開講され、今日まで20年かけて日本全国に広めてこられました。

アカデミーは、岐阜県美濃市の高台にありました

校内施設の案内は森林文化アカデミーの辻充孝先生がしてくださいました

森林文化アカデミーは2001年に開校され、森林や木材に関わるさまざまな分野で活躍する人材を育成することを目指す、2年制の専修学校です。

林業や林産業の現場に即応できる人材を育成する「森と木のエンジニア科」と、林業、森林環境教育、木造建築、木工の4つの専攻で指導的役割を担う専門家育成をする「森と木のクリエイター科」の2つの科で構成されていて、各科の学生の定員は20名で少人数に向けた教育が行われている学校でした。

木造建築病理学の講義は、「森と木のクリエイター科」の木造建築専攻のクラスで行われていました。

また、木造建築専攻のクラスでは、入学してすぐに学生自らの設計、施工で小さな建物を作る「自力建設プロジェクト」があり、学生たちは構内の演習林から伐採した木を製材し、墨付け、刻みを実践し、1年をかけて建築するそうです。以下の写真は自力建設プロジェクトで作られた作品です。

2023年度に作られた屋外階段(下写真)

2011年度に建てられた森の階段(下写真)

2014年度に建てられた森の灯台(下写真)

2007年度に建てられた休憩施設(下写真)

経年劣化した部位の改修も、後年の学生さんたちの手でおこなわれているそうです。

作品群の見学の後には、学生さんたちと共に、既存住宅の改修課題の演習と発表がありました。課題では、既存住宅の間取りや外観、劣化、耐震性、断熱性などの情報が与えられ、高齢者住居に改修する設計を行うものでした。

今回は学生さん達と、住宅医を志す我々が車座になって意見交換する場もありました。前職を辞めて方向転換されて、木造建築に携わることを志された学生さんもおられ、強い意志や夢を持って学ばれていることを感じました。学生さんたちは皆、口を揃えて「自力建設プロジェクト」がとても良かった、と熱く語られていることが印象に残りました。

森林文化アカデミー見学の後、美濃の商家町へ移動し、NAE美濃(旧NIPPONIA)のYAMAJOU棟を見学し、宿泊しました。

NAE美濃は、日本で初めての分散型ホテルで、うだつの町並みに点在する古民家を改修して宿泊棟にされています。各宿泊棟は、フロントまで徒歩で10分以内の距離にあります。ホテルでは朝食のみが出されて、夕食は近辺の店舗を利用してもらう地域に開かれた形態をとられていました。このホテルの運営は、地域の方々で行われている成功例だそうです。

YAMAJOU棟の配置図

このYAMAJOU棟の実測調査、設計は、森林文化アカデミーを卒業されたインクの中島昭之さんがされました。限られた予算の中で、苦心して既存建物のすばらしい素材と造作は基本的に残し、耐震補強、防火規準などをクリアしていかれたそうです。

私は、土蔵を改修された陽明殿に宿泊しました。(上図、西端のオレンジ色のアミ掛けされた建物)

宿泊した陽明殿のリビング

劣化が進んでいた2階の床は取除いて吹抜けにされたそうです。耐震補強は鉄のブレースで行われ、防火規準のためスプリンクラーが設置されていました。壁には美濃和紙が一面に貼られていました。

月明かりの下での入浴はとても気持ちよく、風情がありました。浴槽は昔ここで使われていた井戸の一番上部の土管を据えて作られたそうです。

今回のツアーは、日本人が育ててきた森林文化を次世代へ伝えていこうとされている森林文化アカデミーで、木造建築病理学の学びの場を見学することができ、美濃の古民家の詳細調査、改修設計をされたホテルやオフィスを見学することができた、すばらしいものでした。私も住宅医スクールで学んだ事を実践して、地域に貢献していきたいと思いました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

鈴木康之