昨年12月の末に完成した「ミノオのいえ」 断熱改修を行ったお住まいです。
先ごろ、やっとHPにアップしたしましたので、畑拓さん撮影の写真お披露目第2弾としてご紹介したいと思います。
「ミノオのいえ」は60歳代のご夫妻のお住まい。ご主人は物理学者で教育者、奥様も教育者です。
寒い家を何とか暖かくしたいとのご相談があり、インナーサッシを入れる程度のイメージだったお二人に、本格的な温熱改修をお勧めしました。
住宅医の行う改修方法にのっとり、まずは詳細調査、温湿度計測も行った上で、現況の温熱性能を把握しました。そして目指す性能値設定。このような設計プロセスに、ご主人が興味津々。一方、インテリアや材料選定では奥様が主導権発揮と、役割分担がしっかりされていて、何事もスムーズに進めることができました。
2階建て鉄骨造の外観は全く手をつけず、内部から断熱材を入れての温熱改修なので、間取りはほとんど変わりませんが、インテリアは一新しました。
玄関は曲線のついた大きな敷台をおいて、土間の奥行を深くしたことで、同じ面積の玄関でも、とても広く感じます。
玄関の敷台は、Ms定番のタモの巾はぎ板にナグリ仕上げの上、漆塗りです。(塗り:Msスタッフ久保亜弓)
写真正面、玄関の窓は既存アルミサッシをそのまま使用することにして、樹脂ガラスの片引き障子をつけてイメージ一新。そんなことで、少し寒い空間になる玄関は、玄関室として、冬は区画することが出来るように廊下との間に引き戸を設けています。
また、緩やかで上りやすい階段に改修することも、もう一つの目的でした。
2階にある寝室や、使用頻度の高い各自の書斎への上り下りが、当分続くからです。
そのために 段数を増やす必要があり、そんなことから廊下のつくりも少々かわりました。
円弧の壁もそのためですが、柔らかい曲面の壁が、魅力ある廊下に変化させたのではないかと思っています。
リビングへの入り口から振り返ると、階段の1段目とその先の玄関室が見えます。
リビング・ダイニング・キッチンはワンルームです。
広さは以前と同じですが、床は栗板、天井は赤味の杉板と、ふんだんに木材を使用していることから、温かい木の空間に変化しました。
テーブル・椅子も、永田健一さん(ZOO)につくってもらっています。
階段を上がった正面には、絵を飾る壁を。スポットライトも用意しました。
その右手はトイレです。思い切って欄間が大きなFIXガラス。トイレの杉板勾配天井か良く見えます。
既存の鉄骨柱は、漆塗りしてこれも名栗加工した栗板で巻いています。手すりは杉板でつくり、着色するつもりでしたが、「素地のままも良いね。」ということになりました。
この冬は「とても暖かかった!」と大変喜んで頂きました。
温熱改修は、ビフォア―・アフターの評価が目に見えて解り、このように、とても喜んで頂けることが、何より嬉しく、やりがいのあることです。
写真:畑拓
文章:三澤文子