Azumi setoda・yubune竣工報告② ~内装設計~
Ms日記をご覧の皆さん、こんにちは。
6月も中旬に入り、日増しに蒸し暑くなってきましたね。
さて、本日は、この春オープンした『Azumi setoda(アズミセトダ)/広島県尾道市瀬戸田町』の竣工報告②をレポートさせていただきます。
担当は、設計の上野です。
◆過去のMs日記はこちらをご参照ください(竣工報告①)
https://www.ms-a.com/azumi_setodayubune.html
今回は、”内装設計”がテーマです。
Azumiには、宿泊室が計22室あります。
新築の鉄骨造2F建てのフレームなかに、内装は木で設計を行いました。
(=スケルトンインフィルという手法です)
設計は、六角屋(三浦史朗氏)+Azumi setoda設計チーム。
マスターアーキテクツである三浦氏のもと、このプロジェクトのために特別に組まれたチームです。
「日本の素木(しらき)で客室をつくりたい」
設計初期に、クライアント&三浦氏から提示されたコンセプトです。
杉と桧。
日本を象徴するような、繊細で、柔らかさのある針葉樹のみを用いての設計です。
素材がそのまま仕上げとなるため、木材の段取りも含めて、設計チームの仕事となりました。
上写真の客室は、広さ約50㎡のタイプです。(1Fのベーシックタイプです)
大きなワンルームですが、障子によって、ベッドルーム・水回りのエリアを区切ることができます。
内装は、100角の柱で、空間が形づくられています。
柱・鴨居には、赤杉の柾目材を用いました。このプロジェクトのために、吉野(奈良県)の林産地に協力していただき、100年生の原木から、より選りの材を調達することができました。
もう一つ、大切な要素が「家具」です。
現場では、モックアップを製作しながら、何度も打合せを重ねました。
シンプルかつ、居心地の良さを追求するため、ミリ単位で寸法を調整しながらつくり込みました。
家具材は、桧。柾目の材を剥ぎ合わせています。
Photo Tomohiro Sakashita
客室の間口いっぱいに、奥行2Mの坪庭があります。(作庭:WASO/西之園氏)
高さ6Mの垣根によりプライバシーを保ちながら、光・風と共に、庭の景色を感じることができます。
Photo Tomohiro Sakashita
2F客室の水回り空間です。
1Fとは異なり、壁側に洗面台をつくりました。浴室の外に小さなテラスがあり、湯上りに涼むことができます。
Photo Tomohiro Sakashita
浴室は、非日常感を楽しめる、ゆったりとしたつくりです。
浴槽は桧(木曽桧)、床は床暖房入りの石貼り(福光石)です。
技術的に難しい防水や排水など、設計&施工チームでたくさん議論して、すっきり納まりました。
Photo Tomohiro Sakashita
メゾネットタイプの2F和室です。
広さは約70㎡あり、屋外テラス(ソファ付き)があります。
堀炬燵の机は、床下に収納することができるので、布団を敷くこともできます。
Photo Tomohiro Sakashita
静かで、控えめな印象ではあるが、この場所にしかない世界観と心地よさを持たせること。
素材と向き合い、余計な要素をそぎ落とし、シンプルで落ち着いた客室となるよう、対話を重ねて設計しました。
置き家具や、備品(OSE)、特殊照明など含めて、
三浦氏の指揮のもと、たくさんのエキスパートと一緒に協業することで、『新しいコンセプトの旅館』をつくることができました。
専門分野の異なるメンバーから、多くを学びがありました。
私たち、木を得意とするMsチームとして。
今後も、プロジェクト型のチーム設計に、積極的に参画していきたいと思います。
上野耕市
◇より詳しい建築情報は、以下の雑誌に掲載されております。
新建築6月号
https://japan-architect.co.jp/project/azumi-setoda%EF%BC%8Byubune/
商店建築5月号
https://www.shotenkenchiku.com/products/detailp.php?itemid=3547