Loading...
わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

みなさん、こんにちは!非常勤スタッフの鈴木です。今回のエムズ日記は、丸亀の家の改修について、住まい手の立ち位置で、着工に向けての準備や、家の想いでについて、お話をしようと思います。

この家は私が祖母から受け継いだ古民家で、昭和3年に建築され、築96年になります。昨年、住宅医スクールで学ぶ中で、耐震、断熱などの性能向上改修の必要性を感じ、現在、エムズ内で指導を受けながら、設計を進めています。

(前回の日記はこちらからお読みいただけます)

改修工事は、来月上旬から着工し、今年末までの工期です。完成後はそこに住み、身をもって性能向上の確認をしていこう、と考えています。

着工に先立ち、先祖が暮らしてきた家に感謝の想いを込めて、清祓い式を行う予定にしています。少しでも清らかな室内で、ご祈祷をしていただこうと、今月は毎土日に丸亀へ帰り、家財道具の片づけをしてきました。

片づけをしていると、昔の写真や、着物、食器などが大切に保管されており、思わず見入ってしまい、手がとまることも、しばしばありました。

この家には、祖父、祖母、曾祖母、伯母(母の姉)、母が暮らしてきました。祖父は、この家で自転車店を営んでおりました。元は警察官だったそうですが、終戦後、仕事が無くなり、一から自転車修理のことを学んで開店したと、祖母や母から聞かされました。

(自転車屋の店先で撮った写真です。右の写真の男の子の横に座っているのは、私の母の幼少時代です)

(パンク修理をしている祖父です)

祖父は、私が小学校へ入学する前に交通事故で亡くなりましたので、幼い時のおぼろげな記憶しか残っていませんが、父母に連れられて大阪から帰省すると、家の前で出迎えてくれて、よちよち歩きの私を両腕で空に向けて高々と抱え上げてくれたことを覚えています。

それから、皆で2階の座敷に上がり、瀬戸内海の魚など、ご馳走を食べさせてもらったことを思い出します。トイレはくみ取り式で、恐々と便器を跨いだことや、風呂が無かったので裏の大家さんの家へ、母とお風呂を借りに行ったことも覚えています。

祖父が亡くなった後も、祖母が一人で暮らしていましたので私は、小学校の夏休みには、一か月くらい丸亀の家に遊びに行ったりしていました。祖母は誰からも好かれていて、「フデさん、おるんな?」と、近所の人がよく玄関の引戸を開けて訪ねてきたのを覚えています。

色々な想いでが、詰まった家ですが、ニューヨークで暮らす従姉も幼少時代をこの家で過ごし、自宅よりも想いでが詰まっているようで、「改修前の家の写真をいっぱい撮っておいてよ!」と、メールが届きました。

家財道具の片づけで、残して使うものと、処分するものを選別していきましたが、20坪程の小さな家に、よくまあこれだけ物があるなあと感心するくらいありました。昔の人は物を大切にし、いつか使うことを考えて、整理して仕舞ってありました。ですので、止む無く処分するものは、現在の市のルールに沿うように分別をして送り出すことにしました。

(片付けには、妹たちも手伝いに来てくれました。休憩中の写真です)

これから、施工中は、ご近所の方々にご迷惑をお掛けしてしまいますので、事前に、ご挨拶に廻り、工事についての説明をしておこうと考えています。住まい手にとっても、着工までの忙しい時期を迎えていますが、いい家が出来るように、工事の安全を願って清祓い式をとり行いたいと思います。

(祖父が彫刻した柿の実です。手先が器用な人だったのだと思います)

ありがとうございました。

鈴木康之