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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2025.02.22

丸亀の家・仕上げ工事について

皆さん、寒波が再来し寒い日が続いていますが、如何お過ごしですか。
今回のエムズ日記は非常勤スタッフの鈴木が、丸亀の家の性能向上改修についてお話しします。

丸亀の家は、私が祖母から受け継いだ築97年の古民家(昭和3年建築)です。住宅医スクールを受講したことがきっかけとなり、改修工事を行うことになりました。昨年6月に着工し、現在の工程は、仕上げ工事となっております。今回は、屋内、屋外の仕上げ工事について説明します。

(前回のエムズ日記は、こちらからお読みいただけます)

年が明けて1月9日から、2階天井の塗装が始まりました。2階天井は勾配天井で、天井面は厚さ12mmのせっこうボードです。それに仕上げ材として、EP塗り(エマルジョンペイント塗り)で、色を付けます。今回は古材色の小屋組みの丸太が、天井に自然に馴染む小豆色(あずきいろ)で塗ることになりました。

奥の天井面の白い点々はせっこうボードを固定する釘頭の陥没を目立たないようにするために塗られたパテです。白い線はせっこうボードのジョイント部の段差を平滑にするためのパテです。いずれも、塗装を美しく仕上げるための下地処理です。手前の天井は下塗りのグレー色の塗装が終わっています。脚立に乗って塗装をしてくださっているのは、村本塗装の村本さんです。

屋内壁の左官工事が始まりました。屋内壁は珪藻土の塗り壁です。

写真は既存の土壁の上に珪藻土を塗っているところです。既存の土壁は火災に強いため、出来る限り残すことにしました。それを下地にして新しい珪藻土の塗り壁で仕上げます。

既存の土壁が無い部位の壁は、新しくせっこうボードを張って壁の下地面を作り、珪藻土の塗り壁で仕上げます。既存の土壁を残す部分も、新しく壁下地を作る部分も、区別なく珪藻土で仕上げることが出来ます。

古材色の小屋組みの丸太は、天井の小豆色に溶け込み、壁の白色には浮き出て、存在感を現しています。

階段部分の壁も、既存の土壁と新しく施工したせっこうボード下地の壁が混在していますが、仕上がると区別なく美しい珪藻土塗りの壁が仕上がりました。

次は、道路側の窓に付ける縦格子の造作工事が始まりました。縦格子は杉材です。

予め、関元工務店さんの高松にある加工場で、格子材の製材と塗装をおこない、格子に組むところまで加工しました。それを現場へ搬入して窓前に取付けます。

この窓に縦格子を取付けます。

縦格子を付けると、建物の外観がこのように、やわらかく、あたたかく、引き締まりました。

このようにして造作工事が進み、2月7日~8日には、Msのスタッフが、塗装工事のため香川入りしました。この日はこの冬一番の寒波が襲来し、この塗装工事を決行するか否か、出発のギリギリまで検討し、最後に文子先生が決断して、車2台で香川へ向かいました。結果、二日間とも非常に寒かったですが、道中積雪にも遭遇せず、無事に塗装工事を実施することが出来ました。

塗装工事は、屋内の床板、家具の堅木類、それから建具類の塗装を行いました。1日目は、2班に分かれて作業を行いました。1班は関元工務店さんの高松の加工場で建具類の塗装、2班は現場で家具や取手の堅木の塗装を行いました。2日目は、全員が現場で、床の塗装、屋外の建具、道路側正面の基礎の立上り、郵便受けの塗装を行いました。私は屋外で作業を行いましたが、塗装に熱中していると寒さを一時忘れていました。

加工場での建具の塗装風景。

関元工務店さんのご配慮で、建具には金物類や、網戸を付けずにおいてくださっていて、塗装がとてもやり易く、短時間できれいに仕上げることが出来ました。

現場屋内での塗装風景

現場屋外での塗装風景

私は、このようなMsスタッフが行う現場塗装は、まだ2回しか経験していませんが、貴重な収穫が得られました。塗装をしながら、他のスタッフが設計した物件の見学が出来ます。設計上の工夫や配慮、納まり。各仕上げ木材の表情や選定理由。大工工事の施工の美しさなどを、自分の眼や手で確認が出来る貴重な機会です。このような場の学びは、次の設計に活かせていきたいと思います。

そのようにして、仕上げ材の塗装工事が終わり、最後に玄関の引戸への板金張り工事、階段手摺の取付けを終え、遂に工事が完了しました。昨日2月20日には関元工務店さんから建物の引き渡しを受けました。この日を迎えられたのは、関元工務店の能見さん、スタッフの皆さん、現場で夏の酷暑、冬の寒さの中で工事を進めてくださった施工者の皆さんのお蔭です。現場監理を通して、一連の工事を見せていただき、感謝の気持ちで一杯です。

このエムズ日記は、その家の1階ワークデスクで書きました。

次回のエムズ日記では、住まい心地などについてお話しする予定です。最後まで、お読みいただき、ありがとうございました。

鈴木康之