2月8日寒波で日本中が凍えるこの日の朝、伊丹から鹿児島経由で屋久島に向かいました。
屋久島に移住される御夫妻(すでに屋久島にて仮住まいをされていますが)の拠点づくりの依頼を頂いたのです。今回は、計画敷地を見に行くのと、屋久島の林業や製材所など、屋久島の杉を使う可能性を探る調査のためです。
屋久杉というと樹齢1000年以上のスギのことをいうのだそうですが50年生~60年生のスギの山も普通にありました。これら「地杉」というそうです。
この地図で、黒枠で囲まれた部分が国有林、その他は民有林。みれば島のほとんどが林地です。海際に農地や居住地があるのみなのです。道も大変わかりやすく、海岸に沿って県道があり、その道を行き来するので、町の様子はとても把握しやすいのです。
花崗岩の岩盤の島、屋久島に育つスギは、岩盤のため栄養が少ないことから成長が遅く、木目が詰まっていて、雨量が多くて湿度がかなり高いことから、樹脂分が多く、それゆえ腐りにくいのだそうです。
今回お世話になった「屋久島大屋根の会」の浦田功さんに、屋久島のこと、屋久杉のこと、屋久島らしい家づくりのことなどなど、多くのことを教えて頂きました。こんなに豊富な森林資源があるのに、「島では地杉があまり使われていないのが現状。」と嘆く浦田さん。そこで、「今回は屋久杉を使うことを基本方針としています。」
と高らかに宣言しました。
夕食はステキなお料理さんに連れて行っていただきました。「ここは素晴らしい!」依頼主のご夫妻2人と共に大はしゃぎ。この店主によるセルフビルドの建物や外構、かなりの時間をかけての傑作です。なにか時間の隙間に入り込んだような、不思議な気持ちになりました。
地杉普請の宿でグッスリ快眠させて頂いた翌日は、島の中間(なかま)地区の集落ツアーに加えて頂きました。
島の古い家はほとんど平屋で瓦葺きです。防風のため、胸高までの石積みが連なる独特の路地空間にわくわくしてきます。
集落ツアーのリーダーは、区長の川崎さん。この中間の海岸にはウミガメが卵を産みに来るのだとか。その様子を資料にして、解説して下さいました。
ツアーのまとめは公民館での茶話会。区長の奥さんの手づくりのおやつです。葉っぱのお皿も奥さんのセンス。島の方々はいつもこんな風らしいです。
手づくりの御餅(草餅でした。)キンカン、タンカン、黒砂糖・・・・
「屋久島、最高ですね!」とまたまた大はしゃぎ。依頼主のご夫妻が、日本のこの地に 住まいをつくることを決めた気持ちが解るような気がしました。
濃厚な屋久島調査の2日間。これから設計がスタートです!
三澤文子