三澤邸改修工事-ニスクボードを使って断熱改修
Ms日記でも何度もご紹介しています三澤の自邸。
27年前に建てたこの家は、時間を経て美しくなる木の家を体感していただけるとてもいいモデルハウスなのですが
冬の早朝室温が5℃になるという弱点をあわせ持っていました。
年明け早々、三澤康彦氏が肺の病気にかかったこともあり、
一念発起、健やかに過ごせる快適な家へと断熱改修・構造補強等を行うことになったのです。
既存の住まいを断熱改修するにはコストや工期、与条件により様々な方法があります。
三澤邸では天井、外壁、開口部と大掛かりにメスをいれますが、
大きな吹抜けのあるリビングホールとゲストルームは天井に断熱材を張るにも足場が必要となり工事が大掛かりになります。
幸い日常の生活圏から外れていますので断熱範囲を区画分けし家の2/3ほどの面積を断熱改修する手法を選択しました。
断熱範囲を限定することでコスト、工期を抑える事もできます。
写真手前は非断熱エリア、奥は床暖房のある断熱エリアです。
夫婦ふたりの生活になると必要な面積はそんなに大きくありません。
季節ごと快適な場所を変えて暮らしていく。
家の中でノマド(遊牧民)的に暮らすこともひとつの暮らし方の回答です。
【では具体的にどのような改修を行ったのか?】
2階天井はもともと勾配天井でしたが、梁上に天井を張り、新しく天井断熱を行いました。
断熱材はパーフェクトバリア(ア)100+100=200㎜
写真左が改修前、右が断熱材充填中の写真。
白い綿のようなものがパーフェクトバリア。断熱性能は熱伝導率0.045W/m・kなのでグラスウール16kと同じくらいの断熱性能です。
しかしペットボトルを再生した断熱材なのでグラスウールと比較してずっと体に優しい建材です。
施工性もいいのでこのパーフェクトバリアと断熱性の高いフェノバボードの2種を適材適所使い分けMsの定番断熱材としています。
また、新しく小屋裏の体積が増えた分、妻面には換気口も忘れずに設置します。
(↑換気口を開けているところ)
外壁はニスクボードという鋼板断熱サンドイッチパネルを既存壁の外壁側から張り足していきます。
以前改修した西宮のT邸でも使用したものです。(以前のMs日記はこちら)
耐震性、防火性能をあわせ持つ優れた建材なのですが、施工は少し大変そうでした。
鋼板部分を切るのに鉄粉が舞うためウィンドブレーカー+ゴーグルで肌と目を守らなければいけません。
暑い中、この格好での作業はかなり過酷。
現場の職人さんには本当に頭が下がります。
既存外壁に下地桟を打ち、ニスクボードを張っていきます。
(ニスクボードは真壁の柱にのみ留めつけるので下地桟はその上から張る板金(小波板)の留めつけ下地となります。)
耐力壁とする部分はCN90釘@50(たて)@100(横)で留めつけ。
その上から小波板板金を仕上げとして張りました。
板金での仕上げは三澤邸が初めてのようでメーカーである日鉄住金鋼板さんも何度か現場に視察にいらしていました。
ニスクボードは直接左官仕上げを行う事もできますが、板金仕上げですとパテ処理などの下地処理が省けるので工期短縮に良いと思います。
この他にも開口部は木製建具をペアガラスにし、ハニカムサーモスクリーンを設置します。
これらの工事と完成形についてはまた次回ご報告します。
(スタッフ:西久保)