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Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2019.03.22

豊中市Y邸 竣工しました!【沖本さんとつくる手刻みの木の住まい】

3月に入り、桜の開花が気になる季節です。

日中は春らしい暖かさで、吹田市ではスイセンに続き、モクレンやユキヤナギなど、公園の花々が咲き始めています。

さて本日は、昨年7月末に着工した「豊中市Y邸」が竣工しましたのでレポート致します。

① IMG_7293.JPG

敷地は、豊中市内の閑静な住宅地にあります。

元々は、敷地の真中に、40坪ほどの総2階の住宅が建っていたのですが、

70代のご夫妻が「コンパクトな家で、心地よく暮らしたい」との依頼あり、

延床面積で28坪の住まいを計画しました。

将来、息子さん世帯の家をもう一軒建てられるよう、東側に大きな庭(後施工)をとっています。

設計は、三澤文子(Ms)。

施工は、沖本雅章(㐂三郎)。

約7ヶ月半の工期で、”手刻み・手仕事の木の住まい”をつくりました。

② DSCN4166.JPG

最大の特徴は、東面の「ポーチ」です。

雨に濡れず、リビングに直接アクセスできるよう、大きく庇を出しています。

来客や、将来もし介護が必要になったときに備えて、外からの動線を確保しました。

柱は八角に加工。

ポーチ内部は、杉板を素地で用いており、木のぬくもりを感じることができます。

外側にも下足箱やゴミ箱を設けて、利便性にも配慮しました。

③ DSCN4160+.jpg

玄関の様子です。

ポストやインターフォンなど、雑然としがちな玄関まわりも、すっきりとシンプルにまとめました。

玄関扉は木製ガラス戸ですが、内部に、『蚊帳(かや)生地の網戸/鍵付』を設けて、

視線を遮ると同時に、やさしい風合いに仕上げました。

④ DSCN4144.jpg玄関内部の様子です。

壁、天井に杉板を張っています。

収納扉・式台には「漆」を塗り、小さな空間にも品格を持たせます。

式台は、沖本さんが手仕事で『チョウナ加工』を施してくださり、

足触が良く、愛着のある一品ものに仕上がりました。

⑤ DSCN4414.jpg

キッチン~リビングは、一体のワンルームになっています。

建物は2間半の間口で細長いプランとなっており、70代のご夫婦の生活が、1階ですべて完結します。

床は、足触りの柔らかい桧(ヒノキ)です。

きれい好きの奥さんを中心に、ご家族で「米ぬか」で拭き掃除をして頂くことになり、

あえて無塗装のまま、引き渡しています。

沖本さんいわく、『(メンテナンスを含めての)”健康住宅”です(笑)』

経年変化も楽しみです。

⑥ DSCN3997.jpg

コンパクトでありながら窮屈さを感じさせないよう、様々な工夫をしました。

一つは、このベンチクッションです。

ご主人の身長にぴったり納まるサイズで、TVカウンターの下に足を入れると、横になって仮眠を取ることができます。

TV台は、家族の思い出が詰まったエゾマツの無垢板を、以前の住まいから転用しました。

沖本さんによるカンナ削りやディテールに、手仕事の良さがよく現れています。

⑦ IMG_7254.jpg

“ゆっくり寛いでいただけたら”との想いで設計しましたが・・・。

『”腹筋”に丁度いい!』と、早速、エクササイズです。(笑)

ご主人は、長年、サッカーの監督を務めており、

現場では、長時間立ったままでも平気で、工事を見守ってくださいました。

⑧ DSCN4113.jpg

リビング/吹抜上部を見上げです。

2階は、すべて小屋組がみえるつくりとなっており、木組みの風合いを楽しむことがでます。

東面のハイサイドライトから、明るい朝日が入ります。

⑨ DSCN4458.jpg

今回のこだわりポイントを、もう一つご紹介します。

上写真は、テーブル越しに東面の開口部をみたところですが、注目いただきたいのは「障子戸」です。

中央に正方形の「引手」がついています。

⑩ DSCN4084.JPG

この障子戸は、「雪見障子風」のデザインとなっており、上の障子を開けることができます。

本来の雪見障子は、下の障子戸が開くのですが、

今回はベンチソファに座ったまま東庭を眺められるよう、三澤がオリジナルでデザインしました。

 ※東庭は後施工になります

⑪ DSCN4486+.jpg

キッチンは、Msオリジナルデザインです。

「吊収納」や「カウンター」高さなど、住まい手さんのご要望に応えて、丁寧に設計しました。

今回は、「吊照明」の納まりにもこだわりました。

⑫ DSCN4112.jpg

ご主人の個室です。

収納棚、机など家具もすべて沖本さんの手仕事です。

個室の裏手は、広いバックヤードとなっており、

浴室~ウォークインクローゼット~洗濯室までが、一続きの空間として繋が

ります。

家事動線は、美しい住宅設計の”要”となります。

⑬ DSCN4182.jpg

さて、最後にもう一度、外観写真です。

右隣にみえる、『黄色い外壁の建物』にご注目ください。

この建物は、実は、2017年5月に急逝した三澤康彦が19年前に設計したものです。

2017年11月。

Ms事務所に、はじめて設計依頼を頂いた今回の住まい手さんですが、

『最近になって、このお隣の建物の内部に入る機会があり、木をふだんに使った設計が気に入った』ことがきっかけで、相談に来てくださいました。

住まい手さん、沖本さんと仲間たち。

その後、一年半で、出会いの輪が広がり『手刻み・手仕事の木の住まい』が完成しました。

良い仕事は、『ものづくりの輪』として、時を超えてつながっていくようです。

住まい手ご家族の皆さま、

沖本さんとその仲間たちに、改めて感謝いたします。

ありがとうございました。

※外構工事後に、続編をレポートしたいと思います。

スタッフ 上野耕市

Y邸過去の記事

3.JパネルDボルトでのY邸の建て方の様子は こちら

2.大工さんと仲間達Y邸の手刻みの様子は こちら

1.木材検査でバトンリレーY邸の木材検査の様子は こちら