HP更新~Ms作品事例-三澤康彦作品に「春風の家」がラインナップ
昨年5月に竣工した「春風の家」が、年が明けてようやくHP三澤康彦作品にラインアップしました。2017年5月5日に急逝した三澤康彦ですが、春風の家の設計契約は5月8日(月)に予定されていました。すでに計画が固まり、実施設計も始まりかけていましたので、結果的に三澤文子が実施設計を引き継ぎ、現場監理を担当した住宅です。
敷地は神戸市東灘区。庭がとれるほど敷地に十分な広さが無いため、2階リビングでガレージの上に屋上庭園を造っています。
東向きの屋上庭園からは、夏の朝のキツイ陽ざしが室内にはいるので、開閉式のテントを設けて凌ぎました。変形の切妻屋根は北側斜線をかわしたゆえの形です。軒裏のJパネルが青空に冴えています。
転じて夜景。
東道路から3段上にあがってポーチ。トンネルをくぐるように玄関に向かいます。
玄関ポーチから玄関を見ます。
玄関はコンパクトですが、漆の敷板を効果的に使って印象を良くしました。
玄関の見返しで、寄った写真になります。
敷板、壁、そして建具と、Msスタッフが漆を塗りました。(Msスタッフになると、漆職人にもなれますよ。)
白木と漆塗の配分が、まずまず上手くいって、床や巾木の御影石の色ともいい感じで調和しています。
撮影は畑拓さん。なにげない階段まわりのこのシーン。気に入っている写真です。
2階はワンルームのLDK。東の屋上庭園が明るく鮮やかです。天井は杉の白太材に目地を大きく取って幅狭にと、特注でつくってもらった本実板です。光が柔らかく反射して、まったり感があります。
棟木を支える2本の栗八角柱。棟木はあえて150㎜巾として、天井板から見えるようにしています。面を大きくとって八角柱と互角に組める無骨さを意識してのことです。
三澤康彦さんお得意のタモの李朝風建具もチラ見しています。(現場では職人さんたちに「あみだくじ建具」と呼ばれているそうですが)
ダイニングから西のキッチンを見ています。夜のシーンも、天井が照明の光を反射して癒され感を醸し出しています。
キッチンカウンターとチーク巾はぎ板のキッチンテーブル。
住まい手さんのご希望で、ボーダータイルを使用しましたが、久しぶりにタイル割の図面を描いて(手描きで)楽しかったな。そんなことで、このあたり、特に愛おしいです。
キッチンは北側家事室につながります。家事室の左(西)が衣類収納と寝室になります。キッチンと家事室に光を落とすトップライトは開閉式で、春風を呼び込むことと思います。
1階西の奥には4畳半の和室があります。押入れの襖が可愛いですね。これは唐長さんにオーダーして刷って頂いたものです。これは白洲次郎さんと白洲正子さんのご自邸、武相荘の、次郎さんと正子さんのお部屋の間仕切りの襖の唐紙の模様を、正子さん側の模様を地模様にして、その上に次郎さん側の模様を色を付けて重ね刷りしたものです。
京都の唐長さんにオーダーに行った私が、その説明にポーと舞い上がってしまい、独断で決めたもの。幸い住まい手のご夫妻も、大いに気にいってくださいました。
地袋は、シナ合板一枚をそのまま建具にして漆を塗ったもの。上下建具が、いろんな意味でコントラストがあります。
最後にトイレのご紹介です。
これは1階のトイレ。和室の横でもあり、腰板が漆塗りのサワラ板を張っています。天井は柿渋紙で落ち着いた印象。
一方、2階のトイレは、優しく和らかい印象。トイレは一人になる空間なのでとても大事な空間、いつも大事に丁寧に設計しています。
三澤文子