Ms日記をご覧の皆さま、こんにちは。今週は、全国的に気温がぐっと下がり、冷え込む週となりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。Ms事務所は、先日のMs日記でご紹介した薪ストーブがあるおかげで、室温が27度まで上がることもあり、所内ではたまに暑い…と言う声も聞こえるほど暖かいです。さて、今週のMs日記では、そんなMs事務所の気密測定をしましたのでそれについてご紹介したいと思います。
12月8日(金)、MOKスクールの番外編のMOKクラブでMs事務所の気密測定をしました。20数名の方が今回のクラブに参加し、来所されました。Msでは、来所いただいた方にまず、事務所の変遷を文子さんからご説明します。写真は、ちょうど文子さんが事務所について説明をしている写真です。
続いて、今回のMOKクラブの講師であり、そしてMsのOBでもある辻先生(岐阜県立森林文化アカデミー教授)から、Ms事務所の断熱性能について計算結果をもとにご説明をいただきました。写真にもあるとおり、「変遷するMs建築設計事務所の温熱・エネルギー改修案を考える」というのが、今回のテーマです。辻先生からのご説明後、断熱性能に大きく関わる気密測定を早速していきます。
気密測定は、写真中央の気密性を測る機械で、測定します。この機械で室内の空気を外へ吸い出し、室内の気圧を下げます。その気圧差をもとに測定します。気密性は”C値”という値で示されます。”C値”とは建物の「床面積1(㎡)」あたりの「隙間面積(㎠)」の割合を示す数値で、この値が”ゼロ”に近いほど気密性が高いことを示します。送風機を稼働し、室内のどこに隙間があるかを調べます。
送風機を稼働すると…
測定不能と左手前の機械の画面に表示されました。これは、建物に隙間が多くあり、室内の気圧がうまく下がらず、測定できなかったということを示します。
と、いうことでスタッフも合わせて総勢30名で、隙間があるところをどんどん養生テープを使って塞いでいきます。
こんなところも…
養生テープで塞いで、もう一度送風機を稼働させると隙間があるところから風が出るので手をかざすと風を感じます。それを頼りに電球を取り付ける穴からも風が出ていることを発見しました。なんとか測定できるように30人でありとあらゆるところに手を当て、風が出ているところを隈なく塞ぎました。
そして、再度、送風機を稼働します。写真は、みんなが固唾を飲んで測定値が出るかどうか、じっと待っているところです。
隙間を隈なく塞いだ甲斐あって、測定が「10.0」と測定結果が出ました!みんなから、感嘆の声が漏れました。
さて、「10.0」という数値についてですが、現在は一般的に「1.0」以下が高気密住宅と言われているので、決して良いとは言えない数値です。そして、隙間を隈なく塞いだ後の数値ですから…。冒頭で、薪ストーブのおかげで所内は暖かい、と書きましたが、実はスタッフルームの足元は特に陽が落ちたあとはよく冷えます。C値の結果を見てスタッフもその寒さに納得です。
さて、測定が終わり、C値が分かったところで事務所の断熱改修について意見を出し合い検討しました。「ガラスをシングルガラスからペアガラスに変える」、「薪ストーブの暖かい空気を建物内に循環させるためシーリングファンをつける」、「防水のメンテナンスも兼ねて、一部屋根をつけ、屋根断熱を付加する」、「床を上げて床暖熱を付加する」などなど、出た案を一つずつシミュレーションに入力し、計算結果をみて、検討しました。
事務所の現状をふまえた断熱改修の案が一通り出て、盛り上がってきたところで最後は文子さんの手料理を囲んで乾杯しました。
この日は、辻先生をはじめ、MsのOBである小泉さんとOGである村上あさひさんも来所してくださり、久しぶりに訪れた事務所を懐かしんでいる様子がとても印象的でした。あと何年か何十年か月日が過ぎ、事務所を訪れたとき、きっと自分も懐かしむのだろうなと感慨深く思うと同時に、そのころの事務所はどんな姿になっているだろうかと、思いました。
年月とともに、断熱性能や気密性能、構造の基準などさまざまな基準が、技術の向上とともにめざましく変わっていく昨今において、建物のメンテナンスも兼ねてその時々の基準に近づけるように、より快適に過ごせるように建物に手を入れ、長く大切に使っていくそんな日々を積み重ねていきたいと思いました。
今回が今年最後のエムズ日記です。お読みいただきありがとうございました。来年の日記もお楽しみに!
(スタッフ小西)