六甲の家竣工②
桜の季節が過ぎ、新緑が爽やかな季節がやってきますね。
新年度が始まり新しい環境での生活を始められた方も多いと思います。
Msでも3月に竣工・引き渡しを終えた物件が多く、約1年共に家づくりをさせていただいた住まい手さんが新しい生活をスタートされました。
その中から今回は神戸市のK邸の竣工報告です。
前面道路からの外観。
眺望と日照を確保するため建物は成形の敷地に対して角度をふっています。
廻りの住宅は道路に対して平行に建っているため配置計画でも目をひきます。
建物をふったことによる敷地の余白は2台分の駐車場と様々な性格の庭が作られています。
玄関はお馴染みの橘商店さんに加工していただいた栗の板を張っています。
逆目がたつ(ケバ立つ)ので本当は柾目材が加工には適しているのですが、板目も表情が出て面白いですよね。
加工が難しい材をきれいに仕上げていただき感謝です。
自宅でストレッチや加圧トレーニングのレッスンを開かれるKさん。
1階にはこだわりのメープル材を床に張ったスタジオがあります。
壁は珪藻土クロス、天井は大分の杉材。
自然素材に囲まれたトレーニングスタジオってなかなか無いような気がします。気持ちがいい!
天井高が2.9mある15帖の空間にはもちろん柱はありません。
2間半の間口に180×360×5mという大きな断面の梁を渡しています。
今回の材は吉野の阪口製材さんにお願いしましたが、こういった材でも天乾材のストックがあるのは阪口さんだからですね。
和室はスタジオと対照的に天井高を抑えた落ち着いた空間。
レッスンを受ける方の着替えにも使っていただきます。
2階リビング。
窓際のスクリーンはハニカムサーモスクリーン。
断熱性能を兼ね備えながら見た目もやわらかで木の住まいにとても合います。
床は国産栗の1枚板、サッシ横の柱は三澤秘蔵のケヤキ材です。
K邸では栗、キハダ、赤ダモ、タモ、セン、ニレなどたくさんの広葉樹が使われています。
「同じ空間に何種類も樹種があるとうるさくないですか?」というご質問をたまに受けますが、全く問題ないです。
杉林、桧林も整然として清々しいですが、いろいろな広葉樹が生えている森もまたあたたかで心地いいのと同じだと思います。
(左)床・・・栗、梁・天井・・・杉、八角柱・・・キハダ、テーブル・・・チーク、テーブル脚・・・ニレ、カウンター腰板・・・タモ
(右)床・柱・・・栗、鴨居・・・杉・タモ、手すり・・・タモ、天井・梁・・・杉
どうでしょう?
もちろん木を知ったうえでコーディネートするのですが意外とおおらかにまとまるものです。
そしてキッチン。
台所にたつのがお好きなKさん夫妻。
こだわりのポイントをお聞きし、打合せを進めながら行き着いたのは
業務用のキッチンを家庭仕様に昇華させたステンレスキッチン。
マットなステンレス(バイブレーション仕様)と大工職に作ってもらったチークの引出がとてもいい相性です。
ガスコンロはKさん支給のガスクッカーのものを工場に持ち込みバイブレーション加工をかけてもらいました。
メーカーさんが出している業務用風ステンレスキッチンもあるのですが、どうも「格好良すぎる」。
木の家に合う「ダサ格好いい」ところを狙い、業務用キッチンを扱う業者さんと打ち合わせを重ね
何枚も施工図を描き、完成。
産みの苦しみはありますが、「作り手」と直に対話しながらものを作り上げていく過程はとても楽しい作業です。
そういったスタイルもMsの家づくりの特徴です。
どんどん使いこんで味わい深い台所に成長させてもらうのが今から楽しみです。
(スタッフ西久保)