Msの仕事
木造住宅を設計するMsは30年近く九州から関東まで仕事していますが、紙の上の作図に留まる形だけの仕事ではあり得ません。木造と言っても、ただ単に壁の中に隠れてしまって仕上げの化粧にはならない木造も多い中、私たちの「木の住まい」はほとんど表面に構造体が化粧として見えてきます。それは見えるゆえ、化粧としての見栄えだけではありません。構造体(柱、梁)として大切な半世紀以上耐久性を持たせる品質のよい木材を全国の色々な産地から三澤が実際使用してきた中からより確かな「もの」を設計側の段取りで工務店に支給しています。樹齢、色合い、節具合、耐久性、含水等、確かな木材を選別するにはたくさんのチェック項目があります。工務店側も「これならば充分受け入れましょう。できれば産地を紹介して頂きたい。」と言われることが多いのです。全ての住宅の自然素材に関わる。これがMsの体質です。それゆえ、Msのスタッフは机の上の仕事と同じくらい汗をかく外部仕事も多いのです。設計するだけではなく施工も行うぐらいの作業を現場で学習、実践するのです。
先日はMs事務所の一画にあるパン屋さん「アンリ」のメンテナンスをMsスタッフで行いました。私の山登りの友人がここの社長で、縁あって借りて頂いています。Ms事務所のある千里ニュータウンにはお店が少ないので、この「アンリ」は地元の住民の方々からとても重宝されているのです。開店して4年目になりテーブルやソファ、床の汚れが気になってきたのでテーブル、床のメンテナンスをMsのスタッフで行うことになりました。
まずはテーブルをサンダーで汚れを削っていきます。店内から持ち出せるテーブルは機械の力を借りて行いますが、店内に固定のテーブルは手動でひたすらやすりをかけていきます。サンダーは非常に便利ですが、埃が舞いやすいので店内では使用を控えたのです。スタッフは少々筋肉痛気味のようです。
汚れを落としてからやっと再塗装でピカピカです。
床もこの通りです。写真奥が再塗装している箇所です。ここまで違うとメンテナンスのし甲斐がありますね。
家づくりの中で設計者は図面を書いてただ施工側の仕事を見ているだけではなく、積極的に現場仕事に参加します。
日は変わって2月19日。今日はお天気です。Ms三澤がストックしている木材(主に広葉樹)の年1回の棚卸しです。千里のMs事務所から車で30分程度のところに倉庫を借りています。10年分くらいのストックがあります。大黒柱(栗、セン、タモ)が100本ほどあり、あとは敷台、カウンター用、栗、桜、セン、タモ、ケヤキなど三澤が全国の木材産地にゆき出会いの時に購入してきます。(三澤は木のコレクタ ーです。)
それら 木材を頭に描きながら次の物件のどこに使用しようかと毎日楽しみながら図面を書きます。「木の住まい」と言っても全て杉、桧だけで構成するわけでもありません。素材のグレードはまちまちです。いくら図面を書いても工務店が木材を調達する場合、設計者が意図するグレードになることは難しいのが現実です。それゆえMsの手の内で木材をストックすることになってしまったのが現実です。Msは施工の一部まで行う事務所です。
三澤