「鳳来杉の家」現場調査
今年1月からMs の非常勤スタッフとして働き始めた村上洋子です。最近のコロナウイルス騒動は、リモートワークを本格的に導入するきっかけになったようですが、私も普段は、愛媛県にある、自分の事務所でリモートワークを行っています。
地場産の木材を使い「まっとうな住宅をつくる」ためのノウハウを惜しみなく披露する、故三澤康彦さんと文子さんが主催するMOK スクールに通って以来、Ms のつくる建物に惹かれ、康彦さん・文子さんをずっと尊敬してきました。Ms の技術だけでなく、建築をつくる心がまえをしっかりと身につけ、自信を持って「木造の専門家です。」と言えるようになりたいです。
リモートワークとは言え、現場を見ないことには始まりません。2 月には住宅のメンテナンス工事の依頼を受け、愛知県へ現地調査にうかがいました。築29年の「鳳来杉の家」です。住まい手からのメールには、「今回のテーマをあらためて提示させていただくなら、私がこの世からいなくなっても、住人が日常生活に支障を来さないようにする、というところでしょうか。」と書かれていました。
この家は、住まい手がご自身で鉄部の塗装や補修をされていて、住まいに対する愛情が伝わって来ます。訪問日はあいにくの雨でしたが、29年が経過した落ち着いた佇まいの板壁は、景色に溶け込んでいました。
ふんだんに使った木製建具を、ひとつひとつ開閉して動きを確かめ、住まい手が気になっている、建物内外の箇所も、しっかりと確認しました。
調査後には、今回の工事を担当される村越建設さんの、暖炉のショールームへご挨拶にうかがいました。ヨーロッパで人気の、スタイリッシュな暖炉が展示されています。
Ms のつくる建物は、一般的な住宅だと「古い」と呼ばれる年齢になっても、まだまだ現役。
適切にメンテナンスを行うことで長く住み続けられて、人生100年時代にふさわしい建物と言えます。29年前に建てられた住まいに、Ms の真摯なものづくりを見て取ることができました。
村上洋子