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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2020.09.18

内部情報:三澤文子 新刊本の予定

非常勤&リモートワークの村上です。Msの代表・三澤文子が新刊本を出すらしいという情報を入手したので、Zoomインタビューしました。本日はいち早く、Ms日記をご覧のみなさんに本の内容をお知らせします。

タイトル:過去との対話をデザインする Ms住宅改修の仕事

タイトルの通り、改修をまとめた本です。住まい手が「建て替えでなく改修」を決意するときには、建物に対して深い思いがあります。三澤がその住まい手の思いを、ショートショートストーリーに仕立て、10軒の住宅を紹介します。

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                   春庭のすまい 撮影:畑拓さん

10軒の住宅を1章に2軒ずつ、5章のショートショートストーリー。お施主さんや木の家の改修を考えている方々に気軽に読んでいただけます。6章には改修の方法論を入れて、建築のプロの実務に役立つよう構成されているとのこと。

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                      四恩庵 撮影:畑拓さん

出版にあたり、写真も畑さんに改めて撮影していただき、改修後に住まい手が重ねた生活の記録が見えるようにしました。

新築と改修、どちらも仕事にかける気持ちは同じ。何もない状態から作り上げる新築には「美しく生み出したい」という自己満足(三澤談)ともとれる感情があります。改修の場合はゼロからのスタートではないけれど、その建物を最初につくった作り手と対話しながら仕事を進めていく、新築にはない「ひと手間」がかかります。

自適荘2015.jpg

                       自適荘 撮影:畑拓さん

Msの改修では、新築と同様、長期優良住宅の等級3を目指しています。また増築がある場合には、時間の経緯がブツッと切れてしまわないように、古い部分と新しい部分の分量バランスを考えます。

ちょっとした寸法、ディテールをきめ細やかに、また色を重視して塗装を選ぶといった意匠のデザインに加え、耐震や温熱といった性能もできる限り向上させるためには、「落としどころ」を見つける目が必要です。

この本は、その「落としどころ」を見つける目を養うための教科書でもあります。

昨年出版された、三澤康彦の仕事 「木の住まい」をデザインする のあとがきに、康彦さんが「木の家づくりの教科書」と題した本の出版の仕事に取りかかっていたことが書かれてあります。それはMOKスクールの教科書にもなり得る本だということで、康彦さんは力を入れていたそうです。

いま文子さんが執筆中の本は、康彦さんが取りかかっていた本が形を変えて、住宅医スクールの副読本になろうとしています。

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                                 岐阜ふくまちや 撮影:Ms 中尾瞭允

2020年の住宅医スクールは6月にスタートのはずでしたが、コロナの影響で今年は中止に。新刊本には、毎年第一回目の第一講義で文子さんが話す概論を入れて、スクール開始に合わせて出版する予定でした。それが移動自粛の影響で撮影もストップし延期になっていました。

ですが、2021年度の住宅医スクールの1月開講が決まり、それに合わせて副読本として出版することになったのです!!

今まではスクールの講義や全国での講演会で、スライドと印刷物で紹介していた実例の詳細を、この本で取り上げる可能性も出てきたようです。

改修では外観からは全く設計者の仕事が見えない場合があります。また改修における「ひと手間」がかなりの比重を占めるため、改修を好まない建築関係者もいるなかで、住まい手の物語を完成させるために助力しようとするプロには、必携の一冊になることでしょう。

文子さんの執筆作業も佳境に入っているようです。みなさんからも本が楽しみだと励ましていただけますと、大きな力になると思います。応援どうぞよろしくお願いいたします!

村上洋子