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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2013.03.16

M邸改修工事竣工しました

暖かくなったり寒くなったり、まさに三寒四温の時期ですが皆さんいかがお過ごしでしょうか。花粉に黄砂にPM2.5に・・・色々と防御するものが盛りだくさんの日々ですね。Ms事務所でも花粉症対策にマスクマンが急増中です。

さて、少し前になりますがM邸の改修工事が完了しました。詳細調査を行い断熱、耐震改修を含めた工事で少し長くなりますがご報告させて頂きます。

依頼主の奥様のご両親が33年前に建てられた住宅が今回の現場でした。10年程前にご両親が地元に戻られるのを機に、依頼主ご家族が入居されました。実はMさんは3年前にカフェをオープンした方です。カフェの名は「豆増」。過去のMs日記でも紹介しています。カフェに続きご自宅の改修工事のご依頼も受けありがたいことです。

敷地の2方向が一部3Mを超える擁壁囲われており地盤の補強が不可欠でした。

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アンダーピーニング工法という補強方法で、既存基礎下に合計8ヶ所に鋼管杭を打ち込み、1ヶ所に耐圧版を設置しました。無筋コンクリートの既存基礎に新設基礎を抱き合わせる前に鋼管杭の施工を行います。作業工程において既存基礎下で鋼管杭を打ち込みジャッキアップでレベル調整を行うので、人一人が作業できる空間を確保します。支持力を確認しながら鋼管杭の打ち込みを行いました。

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杭工事完了後は基礎補強工事。既存基礎は詳細調査時に無筋コンクリート基礎ということが分かっていたので補強方法を施工性含めて検討しました。既存基礎の内側にロの字型で新設基礎を沿わせます。

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(写真左:改修前/写真右改修後)

擁壁への負荷を軽減するために南側の広縁(下屋)を解体し、1・2階の耐力壁ラインを統一し上部の荷重が補強を行った基礎、地盤へ伝達するように計画しました。擁壁を押していた植栽の根も取り除き、新たな木塀を堅木でつくりました。外観は下屋の解体、吹付のやりなおし、一部樋の新設に留まっています。

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耐震改修だけではなく、断熱改修も実施しています。既存の壁にはグラスウール(ア)50㎜のみで床下には断熱材はなく、唯一畳が断熱材の変わりという状況で冬場の厳しい寒さを改善したい、という住まい手さんの強いご要望がありました。今回の工事では1階を生活空間として断熱エリアを区切り床、壁、天井に断熱材を充填しました。

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改修後の内観です。写真奥に見える玄関板戸からまっすぐ廊下が伸び、階段の手摺格子が軽快です。床材は唐松フローリングを使用しています。階段の踏み板は唐松パネル、玄関式台には唐松無垢板を使用しています。式台には足触りのいい名栗加工を施しています。名栗加工はお馴染み橘商店さん

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ダイニングキッチンの写真です。元々2間続きの和室だったところをLDKとしています。以前は北側の水廻りに固められていたため日中でも薄暗いLDKでしたが、南側に面した明るいLDKです。カウンターの前の大黒柱はケヤキ材です。

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実はこの大黒柱の上部には2階床を支える成410㎜の梁が2本かかっています。この梁は2間飛んでいたので、大梁に肘木をかけて柱で支えるように補強しました。大梁と肘木はボルトで緊結し、さらに両面合板で固めています。構造補強のために追加した柱ですが、210㎜角大黒柱がアクセントにもなっています。

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ダイニングテーブルには40㎜のタモの板を使用しています。実はこのタモの板は一枚板に見えますが”一枚板風”の幅接ぎ板を使用しています。カウンターと絡めることで広々としたLDKとなりました。

住まい手さんのご実家を改修し新たな住まいとして再生することでこれからも受け継がれていく住まいになったのではないかと思います。

(スタッフ:平賀)