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Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2024.11.16

丸亀の家 性能向上改修工事について

皆さん、こんにちは! 今週のエムズ日記は、非常勤スタッフの鈴木が、前回に引き続き、丸亀の家の性能向上工事について、お話しします。

丸亀の家は、昭和3年に建てられた長屋建ての古民家で、祖母から受け継ぎました。昨年住宅医スクールで性能向上改修の大切さを学び、丸亀の家の改修工事を決心し、詳細調査、改修設計を経て、今年6月に着工し、現在は外部、内部の造作工事にまで進んでいます。

前回の日記では、構造性能を向上する基礎工事、軸組、屋根面の剛性を補強する工事までをお話ししました。今回は、2階床面の剛性補強、外壁の耐力補強、そして構造以外の性能向上工事についてお話しします。

前回の日記はこちらから、ご覧になれます。

前回の日記を公開した翌日の9月29日に、現場にて構造見学会を開催しました。大変盛況で20数名の来場者がありました。

来場者に2階へ集まっていただき、石の上に柱を立てた石場建ての建物へ、どのようにコンクリートの基礎を施工し、土台、柱を載せたかについての説明会を行いました。

建物が地震や強風を受けた時に、変形するのを抑える構造耐力は、鉛直面と水平面に設けます。鉛直面は主に外壁や間仕切り壁に、水平面は2階床面と屋根面に耐力を持たせます。今回は、既存の2階床板の上の全面に新たに厚さ24ミリ構造用合板を張って、水平面の耐力を確保しました。

既存の床板の上に構造用合板を張っているところです。

次に鉛直面の外壁の補強です。外壁も構造用合板を張って耐力を確保しますが、構造用合板を固定した柱には大きな引抜の力が発生しますので、柱が土台や梁から抜けないように、まず接合部を金物で補強します。

ホールダウン金物は、金色の鉄筋がコンクリート基礎の内部で固定され、柱が土台から抜けるのを防止します。

古材の柱も頭部を接合金物で補強しました。

外壁は既存の土壁や新設の骨組みが混在しており、断熱材を挿入する位置や仕上げ材の下地の組み方を考慮した、構造用合板の張り方ついて、現場で何度も打合せを行いました。また外壁は、防火、防水、壁内結露防止などの性能確保も必要となりますので、慎重に層構成を検討しました。

その結果、既存土壁を残すための下地桟の入れ方や壁厚さが決まり、1階は室内側に、2階は屋外側に構造用合板を張ることとなりました。

1階は屋内側に、2階は屋外側に構造用合板を張りますので、外観の材料が異なります。

このようにして、補強工事を進めてきましたが、床、壁、天井、屋根を眺めてみると、性能を向上する改修は、古い骨組みや土壁を活かしながら、新しい部材で補強をすることだなと、改めて気付きました。

古材の柱、小屋組み、土壁は残し、新しい構造用合板で補強を行い、防火構造の断熱性能が高いサッシを取付けたところです。

さて、性能向上の工事も完了しましたので、いよいよ内部、外部の造作工事に進んでいきます。その工事については、次回のエムズ日記でお話いたします。

ありがとうございました。

鈴木康之