5月14日、気持ちのよい晴れの日に、大阪府阪南市にある「柿の木荘」に行ってきました。
「柿の木荘」は三澤康彦さんの叔父さんの邸宅で、小さな頃から出入りしていたと伺っています。そして、2017年に三澤さんが急逝される直前に改修設計を行った“最後の作品”でもあり、私たちMsにとっても大切な場所です。
今回は、オーナーご夫妻とともに、メンテナンスの確認のために訪問しました。手入れが行き届いた広々とした庭があり、その奥に2016年に改修工事を行ったサロンと蔵がみえます。
主屋の座敷の建具を開けて、風を通しました。2方向に庭とつながり、とても気持ちのよい空間です。この座敷は約100年前に建築された当時まま使われています。
庭と建築をつなぐ縁側(広縁~濡縁)は、日本の木造建築がもつ大きな魅力のひとつです。畳は1910mm×955mmの「京間(きょうま)」の畳割りとなっています。畳のサイズありきで、その周囲に柱を建てる伝統的な手法でつくられているため、ゆったり広々と感じます。会話もはずみ、時が過ぎるのを惜しく感じました。
広縁の床はケヤキの一枚板が使われていて、その質感に目が奪われます。
柱や長押も柾目が美しく、縁側の天井・欄間も風情があります。「柿の木荘」を訪れるゲストのなかには、木造建築に詳しい方もいらっしゃるようで、皆さんからお褒めの言葉をいただくこともよくあるそうです。
さて、上の写真は場所が代わり、2016年に三澤さんが改修設計したサロンです。ここでも、庭とのつながりが一つのテーマで、大きな窓の外に鉄平石が敷かれています。
建築と庭、素材、新旧のバランス。大切に受け継がれてきた要素を守りながら、メンテナンスを続けていきたいと思います。
上野耕市



