Msウェブサイトはコロナ禍、大々的にリニューアルされましたが、当時私が、激務の最中であったため、掲載作品は最近の仕事を中心に少量にとどまっています。そこで私、三澤文子が担当する回は、「蔵出し!自慢の住宅作品」と題して、Ms日記にてMsのウェブサイトに未掲載の作品を皆様にご紹介させて頂きたいと思います。

大阪の市街地にある住まい。北側にある前面道路は交通量の極めて少ない道で、少し懐かしささえ感じます。そんな長閑な道に面するこの家は、屋根の軒先ラインが、1階、2階と長く伸び、その下にある格子の連続がとてもいい表情を出しています。正面から階段で玄関ポーチに向かいますが、写真右手にはガレージがあり、そこからは軒下のスロープを通って玄関まで向かいます。

当時お子さんが小さくてバギーを使用されていたこと、また2世帯住宅ということで、高齢者への配慮もありスロープをつくりました。老若男女に使いやすいユニバーサルデザインの志向は、その後もずっと設計のテーマになっています。
写真右上を見ると、2階屋根の右端は奥行きがとても浅いのです。実はここは物干し台(布団干し台)の屋根。道から見ると大きく長い屋根として見えているのです。

通路的な玄関ポーチ。このポーチの東端に立って、ガレージの方向を見ています。連続した赤身の杉の格子がとても美しい。軒が深いことから雨に当たらず、おそらく上手に経年変化を重ねていることだと思います。

1階の内観です。リビングから東のダイニングと吹き抜けホールを見ています。ダイニングと吹き抜けホールは南に突き出たL字型の配置で南の庭を囲んでいます。
このリビングの手前には2階に行く階段があり、その西にはご両親の寝室があります。
この家の構造材は、徳島県の木頭杉・和田善行さんの山の木。床は東北産の赤松です。

ダイニングからリビングへの見返しです。2階の床を支える大きな梁とダイニングの小さな梁の継手をわざと見せて八角柱で支えています。
Msは、独立柱は八角が定番です。いつからそうなったのか明確な記憶はありませが、こんな仕口をつくる場合、やはり柱は八角柱でなければ。と思います。

ダイニングテーブルは、キッチンカウンターに面していて、トヨさんの椅子が2脚と、壁側はベンチです。ウレタンマットのベンチソファーはくつろぎ感あり居心地満点のはずです。そして写真手前はピアノのある吹き抜けのホールがあり階段で中2階に。

中2階に向かう階段の脇にある本棚。吹き抜け天井まであります。爽快な本棚のこの写真は大好きな写真です。

そして中2階の夫の書斎からダイニングを見下ろしています。腰壁もなく透明のアクリル板でダイニングの様子が良く見えます。家の中に有る窓は、通気のためもありますが、見通すことができて広さを感じる効果があります。
竣工から19年。お子さんも成人されたことでしょう。お子さんの成長と共に、木の色が落ち着いて良い味を出してくるように、良い時間を共有してきていることと思います。(三澤文子)



